2002年12月26日(木)「しんぶん赤旗」
保守新党の代表に就任した熊谷弘氏は、記者会見で「内部抗争に明け暮れる毎日のなかで、国民不在の政治という限界を感じた。自分たちの自己保身や自己栄達の世界であってはならない」と強調しました。しかし、今回の新党結成には、総選挙で生き残りを図りたい「自己保身」と、政党助成金目当ての動機が国民に見透かされています。
熊谷氏自身、前回の総選挙で自民党候補に約三千五百票差に迫られ、保守党も昨年の参院選では比例代表でわずか一人の当選にとどまりました。
政党助成金は所属議員の人数と国政選挙の得票をもとに算定されます。政党助成法に基づく政党の要件は「国会議員五人以上」なので、保守党の野田毅氏ら三人が「保守新党」に参加しないで別の新党や会派をつくっても政党要件に満たず、野田氏らに助成金は交付されません。
保守党十二人は野田氏ら三人と、保守新党に参加する二階俊博幹事長ら九人に「分割」。保守新党の助成金は、熊谷氏ら五人に保守党側の九人を加えた十四人の議員数分と、これまで保守党として受け取ってきた得票数分になります。政党助成金確保のために、何が何でも年内に新党を立ち上げる必要があったのです。
また二階俊博幹事長は、熊谷氏らが野党から与党に移ったことの説明を問われ、「セ・リーグからパ・リーグに移籍したようなもの」と答えました。しかし、小泉政権を批判してきた野党第一党の国対委員長経験者らが、百八十度立場を変えて政権を支えるという姿勢には何の道理もありません。「国民不在の政治」そのものです。(荘)