日本共産党

2002年12月19日(木)「しんぶん赤旗」

在外被爆者の勝訴確定

「援護法適用」たたかい実る

国が上告断念


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在外被爆者に援護法適用を求める裁判で勝訴の確定を支援者とともに喜ぶ郭貴勲さん(右)=18日、国会内

 「被爆者はどこにいても被爆者」。こんな当たり前のことを求め、国と大阪府を相手取って裁判に訴え、一審の大阪地裁、二審の大阪高裁とも勝訴した韓国人被爆者、郭貴勲さん(78)の訴訟について、坂口力厚生労働相は十八日、最高裁への上告断念を表明しました。同日、郭さんは「在外被爆者にとって歴史的瞬間だ」と語りました。

 郭さんは、在外被爆者に援護法適用を実現させる議員懇談会、支援者らと国会内で会見にのぞみ、緊張した面持ちで「英断だ」とし、「これで終わるわけではない。これからも年老いた在外被爆者の援護に積極的に対応するよう求めていきたい」とのべました。

 韓国の原爆被害者を救援する市民の会の市場淳子会長は「三十五年のたたかいがやっと一歩を踏み出した。在外被爆者に希望と喜びを与えた」と語りました。

 郭さんは一九四四年、徴兵で強制連行され、広島市で被爆。戦後帰国しましたが、治療のために九八年五月に来日。被爆者援護法にもとづいて健康管理手当の支給が認定されましたが、同年七月の帰国と同時に打ち切られました。

 このため郭さんは手当の打ち切り処分の取り消しと慰謝料の支払いを求めて提訴。大阪高裁は今月五日、一審判決を支持し「国外に出ることで法の適用対象から外れ、被爆者の地位を失うとする国側の解釈は認められない」と国と大阪府の控訴を棄却しました。

 この日、国側が示した在外被爆者に対する対応は「日本において手帳を取得し、手当支給の認定を受ける」など条件を厳しく限定。来日が困難な多くの在外被爆者を切り捨てています。


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