2002年12月19日(木)「しんぶん赤旗」
![]() 国立マンション訴訟で、判決を受け記者会見する周辺住民側=18日午前、東京・霞が関の司法記者クラブ |
東京都国立市の並木道沿いに建設された高層マンション(十四階建て、高さ約四十四メートル)をめぐり、周辺住民らが「マンションは条例違反」として、建築主の明和地所(東京都渋谷区)などを相手に市条例の高さ制限(二十メートル)を超える部分の撤去などを求めた訴訟の判決が十八日、東京地裁でありました。宮岡章裁判長は「景観を侵害している」と述べ、通りに面した一棟のうち制限を超える部分の撤去を命じました。
都市景観をめぐり、マンションの一部撤去を命じる判決は初めて。
明和地所は一九九九年夏に高層マンション建設を計画。市は二〇〇〇年二月に高さを制限する条例を施行して対抗しました。マンションは昨年十二月に完成し入居が始まっています。
判決は、「地権者は良好な景観を自ら維持する義務を負い、相互に維持を求める利益を有する」と、「景観利益」を認めた上で「地権者らは土地利用上の犠牲を払いながら、景観を七十年以上保持してきた」と指摘。
「マンションは並木から突出し、景観を侵害している」と述べ、原告のうち近隣の地権者三人の被害を認定しました。
明和地所の対応を「規制に適合していれば、住民との協議の必要はないと考え建築を強行した」と批判し、「二十メートルを超える部分を撤去しない限り、被害を救済できない」と結論付けました。