日本共産党

2002年12月13日(金)「しんぶん赤旗」

主張

補正予算

迷走では破たん抜け出せない


 小泉内閣が補正予算案の骨格を発表しました。

 財政支出は公共投資に一兆五千億円、雇用・中小企業対策に一兆五千億円を計上しています。約三兆円にのぼる巨額の税収不足の補てんなどと合わせて、財源として新たに約五兆円の国債を発行します。

 小泉内閣と自民・公明・保守の与党三党は、なし崩し的に公共事業の「バラマキ」に乗り出しています。

悪い需要政策に頼る

 「不良債権処理の加速」策や、庶民増税、社会保障負担増という、需要を冷え込ませる政策を推進する一方で需要拡大策をとろうというのは支離滅裂です。なにより、その需要拡大策の筋が悪すぎます。

 政府は「構造改革推進型の公共投資」と言っていますが、その中身は「むだ遣いだ」と大きな批判が起きている拠点空港・国際港湾の整備や道路建設が中心です。見通しのない巨大開発や、住環境を破壊し1キロメートル一千億円以上かかるような都市環状道路に税金を流し込むことの、どこが「構造改革」なのでしょうか。

 小泉首相は、景気対策として公共事業を積み増すやり方には効果がない、そういうやり方はやめると公約してきたはずです。補正予算案に盛り込まれた公共投資は、首相が否定してきた「悪い需要政策」そのものではありませんか。

 くらしと経済の危機を深める「構造改革」を進めながら、景気がいっそう悪化する懸念から、失敗が証明済みであると同時に自らも否定してきた対策に税金をつぎ込む―。目も当てられない迷走は、小泉内閣が救いようのない深刻な自己破たんに陥っていることを示しています。

 雇用・中小企業対策も同様です。安全網を強化・充実するとしていますが、大量の倒産・失業を発生させる不良債権処理の加速をやめなければ焼け石に水となります。

 この間、失業給付を冷たくカットしながら、保険料は引き上げるというセーフティーネット壊しに精を出してきたのが小泉内閣です。過去最悪の失業を記録しているときに、さらに失業給付を二千億円も削減し、世界最低級の失業支援の水準をもっと引き下げようとしています。

 一段の保険料引き上げの中止は当然であり、ほとんど効果を発揮してこなかった従来型の雇用対策でお茶を濁すのは、雇用軽視もはなはだしいというべきです。

 小泉内閣はこれらの対策を「改革加速プログラム」と呼んでいますが、現在の大不況を招いたのは、この一年半の経済失政にほかなりません。景気を悪化させて税収に大穴を開けたことも含め、自らの失政が補正予算の編成と国債増発を余儀なくさせているのです。

 ことさらに「改革加速」や「改革推進型」などというのは、失政から国民の目をそらし、責任逃れをはかるためのごまかしにすぎません。

逃げ水の景気回復

 見過ごせないのは、経済財政諮問会議で竹中経財・金融相が明らかにした日本経済の見通しです。

 補正予算を計算に入れても、来年も再来年も想定した成長率を下回る。国民にがまんを強いる「集中調整期間」は一年延長しなければならず、「デフレの克服は集中調整期間後になる」というのです。

 こういう政治のもとでは、景気の回復は、逃げ水のようにますます遠くへ行ってしまうばかりです。

 家計を痛めつける政治が経済を再生できる道理がありません。くらしに軸足を置いた経済政策に抜本転換することが急務です。


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