日本共産党

2002年12月6日(金)「しんぶん赤旗」

主張

コメ政策大綱

これでは国民の主食を託せない


 政府が三日決定した「コメ政策改革大綱」は、国民の主食であり、日本農業のささえでもあるコメの生産を、需給・価格両面で全面的に市場まかせにする方向を示しました。

 新しいコメ政策は、稲作だけでなく日本農業全体にも深刻な打撃を与えます。国産米の安定供給という国民的な願いを踏みにじる政府には、命の源を託せません。

安定供給の責任放棄

 政府は、これまでの政策では「わが国米経済は活力低下の悪循環に陥りかねない」から、改革するといいます。たしかに減反拡大と生産者価格の大暴落で、全国の稲作所得は年一兆円も減り、農家と地域経済は大打撃をこうむっています。

 しかし、その主な原因は、九五年にWTO農業協定を受け入れて需要のないコメの輸入(ミニマムアクセス)を始め、米価の下支えも廃止したことにあるのは明らかです。そこにこそメスを入れるべきです。

 政府は、輸入米は国内需給に影響ない、生産調整も生産者のためなのに政府が割り当てているから反発が出ると、責任を農家と生産者団体に押し付けました。国の責任とされてきた「コメの需給と価格の安定」から基本的に手を引く、いわば徹底した国産米政策のリストラです。

 政府による減反推進を二〇〇八年度までには廃止して農業者団体に責任を持たせます。また〇四年から面積配分から生産数量で調整する方式にします。やり方が変わっても減反が強化されることは変わりません。米価の暴落の打撃を緩和する稲作経営安定対策と転作助成金は廃止。産地づくり推進交付金が設けられますが、全体の予算は減らされます。

 政府がコメづくりに求めるのは、家庭用、業務用、加工用などさまざまな「需要ごとに求められる価格条件を満たす」ことです。生産コストに関係なく、量販店や食品企業が要求する低価格で供給すべきで、それ以外は必要ないというわけです。

 国民にできるだけ安くコメを供給することは必要です。しかし、まったく条件の違う輸入米との競争を含めて、生産経費や農家の労働を無視する価格を押し付けることは、国内生産を破壊することになります。

 しかも、WTO協定以来、穀物メジャーなどの買いたたきで国際穀物価格が暴落。アメリカ政府はいったん廃止した価格保障を復活させ、アジア各国も国内生産を守るため、コメの買入価格を引き上げています。すべてを農業者に押し付け、大部分の農家を切り捨てるのは、まさに亡国の極みです。

 政府は現在百七十四万戸のコメ農家のうち数万戸程度しかない大規模農家だけを対象に「担い手経営安定対策」を作るとしています。しかし、これまで政府が何度も青写真を描いてきたのに、大規模経営は実現せず、国内生産は縮小を続けてきました。机上のプランにしがみつくのはもうやめるべきです。

国内生産守れはすう勢

 日本共産党は、農業を国の基幹産業に位置付け、コメを基本に農業生産を多面的に発展させる方向に政策を転換させることを求めます。コメ政策では、強制減反に反対し、備蓄を含めゆとりある需給計画を確立、理不尽な輸入(ミニマムアクセス)米の廃止、米価の下支えの確立、水田の生産力を生かすため転作の条件整備を先行させるなどです。

 コメつぶしの政策はやめ、日本にもっとも適したコメ農業を発展させ、食料自給率を向上させる政策を確立することこそ、世界の流れにも国民の願いにも沿った政策です。


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