日本共産党

2002年12月4日(水)「しんぶん赤旗」

受刑者らの人権侵害

「警告」「勧告」「要望」5年で99件

日弁連

集計の4割超


 全国の刑務所や拘置所で受刑者らに対する人権侵害があったとして、弁護士会が改善の「警告」「勧告」「要望」を出した件数が、五年間で九十九件に上ることが三日、日弁連のまとめで分かりました。名古屋刑務所の集団暴行事件を受け、日弁連が全国の各弁護士会を通じて集計したもの。一九九八年一月から今年九月末までに、人権侵害があったと認定し「警告」、「勧告」、「要望」を出した総数は二百三十八件。このうち、刑務所、拘置所に関するものは、四割以上を占める九十九件でトップでした。

診断書求めると脅し/告訴すると強打され打撲

 このうち名古屋刑務所では、(1)職員から胸部打撲傷の傷害を負わされ、告訴するために医師の診断書を求めると、「それぐらいのことで告訴したらこれから先もっと痛い目を見ることになる」といわれた(一九九九年十二月九日付、名古屋拘置所所長あての要望書)(2)職員から平手で右胸を強打され、打撲傷を負い告訴したら、「腕をねじられたぐらいで告訴するな」といわれ、さらに両腕を強打され打撲傷を負った(同年十二月九日付、岐阜拘置支所長あて要望書)――などの事例が報告されています。

 他の刑務所でもまた、戒護の目的を超えた革手錠の乱用、検閲など手紙に関する不当な制限、歯科治療など医療が適切に受けられない例や刑務官による暴行・いやがらせなどが指摘されています。刑務官に抗議したところ長時間、独居房で正座させられる懲罰に掛けられたケースも。

 弁護士会の調査は、刑務所側の協力が得られにくい上、人権救済を申し立てた受刑者らとの面会に刑務所職員が立ち会うなど、事実認定が難しく疑いはあっても勧告などを見送る場合も多いといいます。

 日弁連は、来年三月に実態調査を行った上で、受刑者の処遇などについて法務省と協議する方針です。日弁連は、人権救済申し立てについてのアンケートも実施。そこでも刑務所についての救済申し立て事件が圧倒的な数で、過去五年間、全国の単位会に申し立てられた総数は千九百九十三件、うち刑務所、拘置支所関係は、八百二十五件と41%を占めています。


「革手錠必要」
新所長が会見

名古屋刑務所

 名古屋刑務所(愛知県三好町)の受刑者への集団暴行事件で、更迭された桜井智舟前所長の後任として中山厚所長が三日、着任し記者会見しました。中山新所長は「事件を十分に検証し、施設運営に生かすとともに、受刑者の人権に配慮して国民の信頼回復に努めたい」と語りました。革手錠に関しては、自殺防止などの観点から「私自身は最低限は必要だと思う」と述べました。名古屋刑務所をめぐっては、受刑者に対し革手錠を過度に締め上げて大けがを負わせました。


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