2002年12月4日(水)「しんぶん赤旗」
![]() 記者会見で真相解明と市長辞職を求める声明を発表する党市議団。(右から)小林えみ子、山本ようすけ、植田進、小田口あきひろの各市議、遠藤淳・党市民運動部長=11月28日、八千代市役所 |
千葉県八千代市では大沢一治市長(55)が十一月二十七日、清掃センター管理業務の委託をめぐる収賄容疑で逮捕されました。公共事業を食い物にする一方で負担を市民に押しつけてきた金権腐敗市政にたいし、唯一の野党として市長の疑惑を一貫して追及してきた日本共産党市議団(四人)の役割が鮮明になっています。
千葉県では、公共事業の口利きで鎌ケ谷の皆川圭一郎市長と、井上裕前参院議長秘書が逮捕されたのが半年前。業務上横領罪で九月に逮捕された木更津市の須田勝勇前市長も、今回、贈賄容疑で逮捕されたプラント管理会社の「泰成エンジニアリング」(本社・東京)の高橋久治前社長(67)と親しく、同市は焼却炉の運転管理業務を契約しています。
調べによると大沢市長は、九九年ごろ清掃センターの管理業務委託に便宜を図る見返りとして、高橋前社長などから現金六百万円を受け取った疑い。ヤミ献金の総額は四千万円以上になるとみられています。
清掃センター管理業務は建設した川崎重工の関連会社が請け負っていましたが、九八年に「経費削減」を名目に、それまでの随意契約から競争入札に変更。泰成エンジニアリングが一億二千万円で落札します。ところが翌年から随意契約に戻され、受注額も今年度三億五千万円と急増。ヤミ献金効果がはっきり表れます。木更津市も、八千代市と同じように随意契約で受注額が増加しています。
日本共産党の植田進市議団長はいいます。「大沢市長は七年前の市長選挙時に億単位の借金をするなど、『市長のいすをカネで買った』といわれました。議会で事件の温床となった“政治とカネ”の問題を徹底追及したのは、日本共産党だけでした」
市長は後援会組織「大樹会」に建設や土木などの業者を入会させ、十数万円から五十万円の年会費を納めさせる手法で、県内の首長ではトップクラスの集金力を誇りました。しかも、会員五十数業者の三分の一が、市の登録業者でした。
「公正で透明な市政運営が企業献金でゆがめられる」「市の登録業者からの献金はやめるべきだ」。議会で党市議団が繰り返し追及しても、市長は「適法に処理しているから問題ない」の一点張り。他の政党は問題にすらしませんでした。
「清掃事業がヤミ献金でゆがめられただけでなく、そのツケが市民への負担増として押しつけられたといっても過言ではありません」と小林えみ子市議は指摘します。
二年前、市は「ゴミ処理費用の一割を市民に負担してもらう」と、指定ゴミ袋への手数料上乗せを、日本共産党や市民の反対を押しきって強行。有料ゴミ袋は、一枚四十リットルで三十四円。近隣の鎌ケ谷市(三十リットル、約六・四円)、船橋市(四十五リットル、五〜十円)の四〜五倍にのぼります。
八千代市では、八日に市議選が告示されます。“金権”市長を支え、市民負担増に「賛成」してきた自民党・保守系、公明党、社民党などのオール与党勢力か、それと正面から対決してきた日本共産党の現有四議席の確保か――争点が鮮明になってきました。
市議団と党支部は、市長逮捕の翌朝から「真相解明と辞職を要求します」と訴えたビラを駅頭で配布し、市民の反響を呼んでいます。「通常より三、四倍のペースでビラが受け取られ、市民の関心は想像以上」と植田市議。ビラを読んだ市民から「徹底的に明らかにして」と、市議団に電話も寄せられています。
一方、与党議員のなかには自分のホームページから市長の写真を削除したり、選挙に向けて市長と一緒に写した写真の撮り直しに追われています。公明党も、市長逮捕を受けて「議会声明」を検討した全員協議会(十一月二十九日)で、「(声明は)辞職勧告まで踏み込む方がいい」と主張するなど、これまで市長を支えた役割を打ち消すのに必死です。
介護保険料・利用料の負担軽減の運動を日本共産党とともに進めて実現した、「介護保険をよくする会」役員の久保庄司さん(68)はいいます。
「重箱の隅をつつくようにして福祉の施策を削りながら、私腹を肥やした市長は辞職して当然ですが、金権腐敗市長を応援してきた与党会派・議員の責任も重大。市議選で、疑惑を一貫して追及し、市政に市民の声を届けてくれた共産党の四人の議席は絶対に必要です」