日本共産党

2002年11月22日(金)「しんぶん赤旗」

公明党 背信の暴走

児童扶養手当の削減

かつて反対、いま推進の先頭


医療改悪に続き

 働き、子育てにがんばる母子家庭の女性たちが、やめてほしいと訴えている児童扶養手当の削減。かつて削減に「到底賛成できない」と反対していた公明党が、削減法案のスピード審議・可決成立の先頭に立っています。負担増反対から手のひらを返したように医療費の一律三割負担の導入を強行した、この夏の公約やぶりに続く背信の暴走です。

 児童扶養手当の改悪は、四年前の所得制限の強化による支給打ち切り、この八月からの減額措置と続いてきました。法案はさらに、支給開始から五年が過ぎたということを根拠に、一律に支給停止ができる仕組みをもりこむものです。支給停止による減額幅は最大半分におよび、細部は今後決まる政令にゆだねられることになります。

 この法案の提出者が、公明党出身の坂口力厚労相です。国会審議では「児童扶養手当という形でだすことも大事かもしれませんけれども、それよりも自立をしていただける環境を整えることが大事な問題」「よくよく考えてみましたとき…これ(児童扶養手当)を命綱にして生活していくというような状況を続けていくということに問題がある」と答弁。失業倒産の増大や、不安定雇用の拡大など母子家庭の「自立」を奪う小泉内閣の経済政策を推進しながら、「自立」支援とは正反対の手当削減を押しつけようとしています。

 しかし、小泉首相が厚相当時に提案した児童扶養手当削減に反対していたのが、当の坂口氏です。所得制限強化による支給打ち切りにたいし、坂口氏(当時「平和・改革」政審会長)は、所得制限強化による手当打ちきりの中止をもりこんだ「緊急提言」(一九九八年四月)を発表しています。

 冬柴鉄三・現公明党幹事長(当時「平和・改革」幹事長)は「弱い立場の人を守るため」として、児童扶養手当や難病治療公費負担の打ちきりは「許すわけにはいきません」(公明新聞九八年三月)とのべていました。

 公明代表だった浜四津敏子参院議員は、女性団体から「手当が命綱となっている家庭も多い」という実情を聞いたうえで、「困っている人の最大の味方でありたい」(公明新聞九八年四月)と激励していました。

低所得層削る

 国会審議でも小泉厚相(当時)を追及。白浜一良参院議員は「困っていらっしゃる方を、(予算で)八十億、六十億カットすることはよくない。本当に困っていらっしゃる方を助けるのが政治の一つの目的でもある」(九八年三月参院予算委)と撤回を求めていました。

 それから一転、ふたたび手当削減を推進する小泉首相に従い、先陣を買ってでる無責任さです。「よくよく考えたら」(坂口氏)手当に頼らないような自立支援が重要とごまかし、批判をかわそうとしています。しかし、小泉厚相が強行した九八年の児童扶養手当打ちきり策も、「(母親が)就労等により自立できるようにすることを明確に目指した総合的支援制度に再編成を図っていく」ことをかかげて、導入されたものです。今回の改悪は、それより所得水準の低い層を対象にした支給カットをねらったものです。

 さらにひどくなった改悪なのに、四年たったら削減反対から百八十度方向転換。医療改悪のときの公約破り(今年七月)のときのように「すべての状況が変化したから」(坂口氏)とでも言い逃れるつもりなのでしょうか。(S)

 


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