日本共産党

2002年11月21日(木)「しんぶん赤旗」

坂口大臣 ごまかし ひどい

母子家庭怒りの声

児童扶養手当削減 きょう採決狙う


 母子家庭の生活を支える児童扶養手当を五年で削減する「母子寡婦福祉法等改正」案。自民、公明、保守の与党は今日、二十一日にも参院厚生労働委員会での採決をねらっています。十九日、日本共産党の井上美代議員の質問で、「五年」の根拠としてきた数値がまったくのごまかしであることが明らかになり(別項)、シングルマザーからは、「ごまかして採決するのは許せない」「私たちの実態をよくきいて審議して」と、怒りの声があがっています。

仕事がない

 シングルママの貧乏暮らしを公開するサイト「HAPPY晩餐(ばんさん)」の管理人、天竺浪女(てんじく・ろうにょ)さんは、「ごまかしの数字を出してまで削るなんて。母子家庭は、子どもに教育を受けさせるな、死んでしまえということですかね。四十社にあたっても仕事はなし。在宅の仕事をしても、もらえるお金は安くなるばかりで割にあわず、本屋でバイト中です。毎月財布の中身四万円で暮らしていますが、今月十九日時点で一万五千四百九十一円の赤字です」。

 「やっぱりごまかしだったんですね。ひどい」というのは、福岡県の平山ひとみさん(41)=団体職員=。小学校六年生になる娘が一歳のときから十年間、手当を受けてきました。「年三回に分けて支給される手当を待ちきれないような日々でした。自分の実感と周りの母子家庭の様子から五年が平均受給期間なんておかしいと感じていました。私の場合、手当は月四万円。改悪案が通れば、娘が十七歳になると最大二万円が削減されることになる。教育費がかかるときだけに重い」

 改悪案では、三歳未満の子どもがいる場合、三歳の誕生月から五年間、それ以上の場合は支給開始から五年間で削減されます。幼児を抱え離婚した母親は、子育てにまだまだ手がかかり仕事も十分できないような時期、中学や高校にいかせなければならないという時期に削減が始まるのです。

 児童扶養手当の改悪に反対する活動をしてきた全国生活と健康を守る会連合会の前田美津恵さんは、井上議員の追及を「すごい」といい「公明党の坂口力厚労相はひどい。国民を苦しめて“福祉の党”などというのは許せません。国民の生命を守る立場にたって改悪はただちにやめるべきだ」。

生存権奪う

 「北海道は仕事はなく、失業率は高い。貧困から離婚を生み出している実態があります。これまでの削減でも命綱が断たれ、子どもの暮らしを直撃しています」というのは、北海道生活と健康を守る会連合会の細川久美子副会長。「五年で減額という根拠がなくなったわけで、逆に手当をふやしてほしい。削減は生存権を奪う」と抗議します。

崩れた「5年で削減」の根拠

 現在、児童扶養手当は、子どもが十八歳になる年の年度末まで支給されています。改悪案は、支給開始から五年がたつと手当を最大で半分まで減額できるというもの。厚労省は「五年」の根拠を、「平均受給期間が五・〇一年だから」と説明してきました。しかし、この数値は一九九九年時点で受給をしている人がこれまで受けてきた平均年数。支給停止までの平均とは全く関係のない数値です。井上議員の追及に、坂口厚労相もごまかしを認めました。同省は、所得制限をこえて受給資格を失った人の「平均受給期間は五・五六年」という新たな数字をもちだしてきました。これには、子どもが十八歳になって受給資格のなくなった人などは含まれず、全体の平均受給期間はもっと長いことが推定されます。同省が「五年」という数字を、支給停止になった人全体の平均だとしてきた説明ともくい違っています。

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp