日本共産党

2002年11月19日(火)「しんぶん赤旗」

国交省はメーカーまかせ

三菱自の大型車タイヤ脱落事故

独自調査の構え見せず


 相次ぐ大型車のタイヤ脱落事故で、三菱自動車工業は、車輪と車軸を結ぶ部品「ハブ」を全数無償交換する追加点検措置を十五日から開始しました。これは、リコール(無償回収・修理)にも匹敵する事態です。ところが、監督官庁の国土交通省は、メーカーの自主対策を追認するだけ。これで安全が守られるのか、問われています。

 この問題の発端は一月十日、横浜市瀬谷区で大型トラクタのタイヤ(約百四十キロ)が主婦を直撃、死亡させる事故が発生したことからです。

 本紙は、リコール要件の一つ、同一車種での多発性について、過去にも同じ車種でタイヤ脱落が起きていることをスクープしました。しかし、三菱は、事故原因を「整備不良だ」と主張。設計・製造上の欠陥ではないとして、リコールを拒否、強制力のない「自主点検」を実施してきました。

 点検実施率が94・2%を超えました。それでもタイヤ脱落事故が続き、十月七日以降、自主点検で「異常なし」と判断した車であらたに四件発生しました。

 このため、全車の部品を無償交換せざるを得なくなったにもかかわらず、三菱はディーラーがハブの摩耗値を計測ミスしたなどとして「整備不良」が原因だと強弁しています。

 国土交通省は一貫して三菱のいい分をうのみにし、事故原因の独自調査に踏み出す構えを見せません。

 三菱によると今回の追加措置にかかる費用は、四十八億円です。それでも国土交通省関係者は「計測ミスなんて整備のプロが点検したとは思えない。最初から全数無償交換していれば…」と本音を漏らしています。

第三者による調査機関必要

 日本共産党の瀬古由起子衆院議員(国土交通委員)の話 大型車のタイヤ脱落事故は、大型ダンプにとどまらず観光バスでも発生しています。道路交通の安全からみて見過ごすことができない、重大な問題です。それにもかかわらず国土交通省は、独自に原因調査に乗り出すことなく、メーカーの「整備不良」とのいい分をうのみにしてきました。死亡事故まで発生している重大事故でも、車の欠陥を独自に調べられない状況では、通達を出してもメーカーのいい分にお墨付きを与えるだけです。第三者機関による、自動車事故の調査機関が必要です。

三菱大型車のタイヤ脱落事故をめぐる経緯
1月10日横浜市P谷区で主婦直撃の人身事故発生
17日本紙、タイヤ外れ事故が過去2回と報道
20日本紙、横浜市の事故(10日)の4日前にもタイヤ脱落事故、過去4回あったと報道
21日各報道機関が相次いで過去の事故を報道
22日三菱、タイヤ脱落事故過去23件、大型車の無償点検・有償交換の自主点検措置を発表
2月6日三菱、大型車ハブの有償交換を無償へ
8日国土交通省が車輪の脱落防止について通達
4月26日自主点検結果を発表、予約含む点検実施率90・8%。「過去のタイヤ脱落の原因は整備などが不適切」と「整備ポイント」などを周知徹底
7月26日アルミ製ホイール車のハブ無償点検を発表。ハブの異常磨耗で基準値をこえた2413台のハブ交換作業を放置していたことが発覚
11月15日点検時「異常なし」の車(7万4千台)でも、脱落が4件発生。ハブを全数無償交換する追加点検措置を発表

 


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