日本共産党

2002年11月19日(火)「しんぶん赤旗」

尼崎市長選

市民と日本共産党が共同

自公連合を破った

冬柴公明党幹事長の地元で通用しなかった反共攻撃


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支持者の祝福を受ける白井さん(左から5人目)=17日夜、兵庫県尼崎市

 「福祉重視、訴え実る 大型開発推進の宮田氏無念」(朝日新聞)、「相乗り現職を破る 共産支援」(神戸新聞)などの見出しが躍る十八日付各紙。中小企業がひしめく人口約四十七万の都市、兵庫県・尼崎市の市長選(十七日)で、日本共産党と「民主市政をつくる尼崎市民の会」が支持する、前市議の白井文(あや)さん(42)=無新=が、自民、公明、民主、自由、保守が推薦する現職、宮田良雄氏(75)を破り、初当選しました。全国最年少の女性市長となる白井さんは、大型開発を見直し、市民の福祉・暮らし・教育を守ることを公約。長野県などにみられる住民本位の新しい政治の流れが、ここでも鮮やかにしめされました。(兵庫県・喜田光洋記者)

当白井  文42無新
     62308
 宮田 良雄75無現
     57385
(投票率32・25%)

新しい地方政治の流れを示す

 「跳び上がるほどうれしい。どんよりした宮田市政を、誠実で若い白井さんに変えてほしかった」――同市常光寺に住む福満洋子さん(64)は、興奮気味に語ります。

 同市長選は、福祉や暮らしへの責任を投げ捨て、著しい「営利企業」化、「開発会社」化の道をすすむ現市政か、市民の暮らしを守る市民本位の市政への転換かが大きく問われました。八年間の宮田市政は、阪神尼崎駅前、キリンビール工場跡地、臨海部の開発を「スーパープロジェクト」として推進。借金は二千億円にふくれあがり、ツケを市民にまわして福祉・暮らしの施策を削減してきました。

 大型開発は無反省に続ける一方、十月末に「経営再建プログラム」を発表。「コストの最適を求める経営」「経済性・効率性」など企業用語であふれる同「プログラム」は、福祉は国基準を超えないことを原則とし、各種医療費助成の縮小、国保の自主減免制度廃止、保育料値上げ、児童ホーム(学童保育所)有料化、小・中学校統廃合など市民に厳しい負担を与えるものです。宮田氏は第一声で、「もらうばかりが市政でない。渡すばかりが行政でない」と露骨に福祉切り捨てを表明しました。一方で、三千五百五十四万円もの退職金(四年の任期分)を受けとろうとする態度に、市民の強い批判がうずまいていました。

大型開発の見直し訴え

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当選から一夜明けた朝、JR立花駅前で市民に抱負を訴える白井さん=18日、兵庫県尼崎市

 広範な市民に推され、立候補した白井さんは、同「プログラム」を批判するとともに、大型開発を見直し、▽市民と対話しながら財政再建▽小児救急医療の充実、国保や介護保険の改善▽少人数学級実現▽公害を克服して環境都市づくり▽市長退職金の85%削減―などを訴えました。

 前回は宮田氏を応援した市職労(自治労加盟)が白井支持に回り、市の元教育長や元理事も白井支持を表明しました。宮田氏を推薦している団体のなかからも「今度は白井さん」との声がでるなど、市政変革への市民の大きなうねりが起きたのでした。

 宮田陣営は組織戦をくりひろげ、公明党は「共産党の候補者に負けるわけにはいかない」(10日、冬柴鉄三幹事長)と反共をあおりましたが、通用しませんでした。

 同市南七松町の越野真由美さん(44)は、「友だちもみんな子どもを児童ホームに預けていますが、有料化されたら大変。白井さんなら市政を変えてくれると期待しました」といいます。宮田氏自身、開票結果がでた直後「『経営再建プログラム』を市民に認めてもらえなかった」と敗戦の弁をのべました。市民の審判は明白です。

 尼崎市は衆院兵庫八区に当たり、公明党の冬柴幹事長が選出されている選挙区で、公明党の拠点の一つです。神戸新聞十八日付は、「公明党の冬柴鉄三幹事長の地元で手堅い組織票などで知られる尼崎市での敗退は、来春の統一地方選を控え政党関係者に衝撃」と指摘しています。昨年の参院選での各党の比例票は、自民約四万九千、公明四万七千、民主二万、自由一万四千、保守四千、日本共産党二万二千です。

 十八日の県庁では、自民党県議が「えらいことになってしもた」。冬柴幹事長のおひざ元で敗北した公明党は、市議が、顔を合わせた日本共産党市議に「投票率が低いので宮田でいけるかなと思ったが…。結果は厳粛に受け止めざるをえない」と言葉少なげに語りました。

 十日におこなわれた熊本市長選挙でも共産党が応援する無所属新人候補が自公連合の現職を打ち破りました。反共攻撃の先兵となった公明党・創価学会の動員をはねのけての勝利でした。

 こんどの尼崎市長選でも同じような結果となりました。一見、強固にみえる自民党と公明党・創価学会連合が市民の良識からうとまれていることを見事に証明してみせたといえるでしょう。

日本共産党勝利へ奮闘

 日本共産党は、広範な市民が集まった選挙母体「フレッシュ尼崎の会」に代表が参加。白井さんや、「市民自治クラブ」の市議、保守系議員らでつくる「清風会」の市議とともに党市議が演説するなど、勝利へ共同の努力を強めました。また、独自に「尼崎民報」や市議団ニュースを発行し、「経営再建プログラム」の重大な内容や、大型開発を凍結・中止し市民の暮らしと地元中小業者を支える方向に変えてこそ財政再建の道が開かれることなどを宣伝し、論戦をリード。対話・支持拡大にも全力を上げ、勝利に奮闘しました。

 「清風会」の騰(あぐる)和美市議は、「共産党の人といっしょにやって、非常によかったと思います。右から左まで、みんな気持ちを一つにして集まった。これが新しい尼崎の流れになると思う。共産党については、これほどまじめな人たちもおらんと思いました。一生懸命で、私もひっぱられた」と話します。

 十八日、日本共産党市議団を訪れた白井さんは、田村征雄市議団長とガッチリ握手。市政変革の第二幕が始まりました。

 


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