2002年11月17日(日)「しんぶん赤旗」
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出資法の法定金利を大幅に上回る高金利で貸金を行うヤミ金融の被害が急速に広まっていることが十六日、金融庁の調査で分かりました。貸金業者に関して財務局や全国の都道府県に寄せられた苦情・相談は昨年約四万八千件で、前年より約七千件増え、一昨年より一万件も増加しています。
また、警察庁が十六日までにおこなった「ヤミ金融」の今年上半期(一―六月)の摘発件数は八十七事件、検挙者は百七十二人に上っています。貸付総額は六十六億五千八百七十六万円で被害者は四万二千三百六十四人に上ります。
ヤミ金融業者は利息制限法の年利15%―20%に対して、年利数百―数千%もの暴利を取っています。上半期の摘発のうち、違法な金利を取る出資法違反が三十八件、無登録などの貸金業規制法違反三十九件、取り立てに伴う暴行、脅迫、住居侵入などが十件でした。摘発件数全体の約四分の一に当たる二十一件に暴力団が絡んでいました。
弁護士や司法書士らでつくる「全国ヤミ金融対策会議」(代表幹事・宇都宮健児弁護士)には、超高金利の利息を取る非合法のヤミ金融業者による激しい取り立ての被害相談が急増しています。同対策会議は全国約二千のヤミ金融業者を出資法違反などの容疑で警察に刑事告発しています。
同対策会議によると、ヤミ金融から十万円を借りた二十六歳の女性は業者の事務所で上半身裸にされ、借りた十枚の一万円札を持った写真を撮影されました。さらに、「写真は風俗業者に渡すぞ」と脅されました。また、貸し付けの際に債務者から入手した運転免許証を使って、取り立ての際には顔写真入りの中傷ビラ数百枚を債務者の自宅周辺にまいた業者もいたといいます。
ヤミ金融の被害根絶に取り組む豊島民主商工会「ひまわり道場」の櫻井俊一・相談員総責任者の話 私たちは金融庁、東京都や警察庁に繰り返し厳重な取り締まりをするように申し入れをしてきました。警察庁の摘発した事件は、全国の被害の実態からすると氷山の一角。被害は全国にわたり、被害者自ら命を絶つ緊急事態です。どこの警察署でもヤミ金融の取り締まりと処罰をさらに強化することを求めます。
行政上の処分について金融庁はまったくやっていないという現状であり、責任は重大です。