日本共産党

2002年11月16日(土)「しんぶん赤旗」

道路4公団 民営化方針の限界

国民負担最小化どころか新規建設続け「借金の山」


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 十五日は最終報告に向けた審議のヤマ場でした。今後の高速道路新規建設の在り方がテーマでした。審議が終わり、記者から「新会社が新たな高速道路はつくれないという意見がでていたが」と聞かれた今井敬委員長。「それは勘でいっているんでしょう。現にキャッシュフロー(現金収支)があるんだから、建設はできる。どのくらいの大きな額がいいのかでは意見の一致はないが、僕らのなかで一致させる必要はない」と余裕の表情でこたえました。

 建設に回す金額は委員会でなく、政府が決めることだということです。

投資額は一致

 たしかに推進委員会事務局は十二日の審議で、高速道路の「最大投資限度額」として、新たな交通量予測にもとづいて五十年で十五兆円から十二兆円の投資が可能という試算を発表していました。もともと国土交通省がだしていた高速道路整備計画の今後の建設費は二十・六兆円。その後、車線の変更などコスト削減で四兆円の削減が可能といっており、この分を差し引けばちょうどこの最大投資額になります。

 自民党道路族のドン、古賀誠道路調査会長は「どういう組織形態であれ、料金収入を最大限活用して残事業は粛々と進める」(「読売」九日付)、新組織がやれない分は国がやると言っています。

 つまり、自民党道路族、国交省が執念を燃やしている、ムダな高速道路建設を中止することなくつづけられる、ということです。そのためには、新会社が料金収入を使って建設するという仕組みがどうしても必要でした。そのうえで国の道路特定財源も使うという立場です。民営化委員会は条件をつけながらも、この大筋を認めました。

 民営新会社がいかに政府から「自立」してもうけをあげることができるかが、委員会の最大の目標です。ここからは、不採算の道路建設計画をいったん凍結して、根本的に見直すという将来の国民負担をなくす方針は出てきません。

 旧国鉄分割・民営化の中心人物の一人で、道路新会社の組織形態の議論をリードした松田昌士JR東日本会長は、記者に囲まれていいました。

債務10兆円増も

 「四十兆円の債務が十兆円増えていることもありうる。だから、新会社は債務を長期固定で返済していく。経営者の自主的判断が何より大事」

 これで民営新会社はリスクを逃れることができて至れりつくせりでしょうが、肩代わりするのは政府資金つまり国民の税金です。

 国民には大きな借金が残ったという事態が将来待っているということになりかねません。

 (山沢猛記者)

 


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