日本共産党

2002年11月13日(水)「しんぶん赤旗」

道路公団の処理方針

旧国鉄分割・民営化の二の舞いにならないか


 道路関係四公団民営化推進委員会が十二日、四公団の民営新会社と、四十兆円にのぼる債務と資産をひきつぐ「保有・債務返済機構」の分離設立で合意したことにより、新たな国民負担につながる危険な道に踏み出しました。

 この処理方針は「民営化を大前提」に、新会社の債務をはずし、もうけをのばし、株式上場する会社になることを狙いとしており、高速道路が財界・大銀行のもうけの対象にされることになります。委員会の論議では一定期間たったら新会社が高速道路を買い取り、自分の資産にすることでほぼ合意しています。

 旧国鉄分割・民営化のときには、JRが新幹線、駅施設などを買い取るとき、破格の値段で提供されました。国民の財産である高速道路、有料道路が新会社に安く提供される懸念はぬぐえません。

 保有機構は四十兆円の債務をひきうけ、分割された新会社が払うリース料でこれを返済し、五十年から四十年で償却するとしています。しかし、将来の交通量予想が数%下回っただけでも大きな負担が増えるといわれています。借金の金利の変動も大きなリスクです。そうなった場合の負担はだれが負うのかという問題があります。

 委員会のなかでは「国がリスクを肩代わりする」ことが当然のようにいわれていますが、これは新たな国民負担となります。旧国鉄の場合、清算事業団に二十五兆円あった長期債務をへらすといいながら、解散時には二十八兆円にふえ、このほとんどが国の負担になりました。民営化優先の旧国鉄処理の二の舞いは許されません。

 今後の議論として高速道路の新規建設をどこがどんな財源を使ってやるかが大きな焦点になります。二十兆円かかる新規建設(二千三百キロ強)をこのまま建設すれば債務が拡大するばかり。これはコスト削減程度ではすまず、いったん凍結し、建設を根本から見直すことが必要です。(山沢猛記者)

 


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