日本共産党

2002年11月6日(水)「しんぶん赤旗」

不良債権処理を最優先に

経済財政白書

景気に無策、扶養控除など廃止試算も


 内閣府は五日、副題を「改革なくして成長なし2」とした二〇〇二年版「年次経済財政報告」(経済財政白書)を公表。不良債権最終処理の加速を最優先した小泉内閣の「構造改革」で実体経済の破壊が表面化しているにもかかわらず、いっそうの「改革」加速を迫る内容となっています。

 白書では、景気の動向について、「民間需要を中心とした景気の自律反転力や自律回復力が弱い」と指摘。内需の柱である設備投資や個人消費の低迷が「景気回復の脆弱性(ぜいじゃくせい)」の要因であることを認めています。とくに、家計の消費行動の低迷の背景に、銀行の不良債権最終処理や企業の「雇用調整」・リストラが進められていることをあげています。

 景気回復のためには、内需の要である個人消費の回復は欠かせません。ところが、白書は繰り返し不良債権処理を促すとともに、「今後の景気動向を考えるにあたっては、米国の景気動向が重要であ(る)」と相変わらず外需依存の景気回復に固執。「米国経済が万が一停滞すれば、わが国の景気回復は短期間で腰折れする可能性も否定できない」としています。

 一方、白書が日本経済の「喫緊の課題」として強調するのは「税制改革」です。その中身は課税最低限の引き下げなど、新たな国民負担増を迫るものです。

 白書は、給与所得者に「非納税者が多い」として、基礎控除、配偶者控除、扶養控除などを廃止した場合の影響を試算。扶養控除を廃止すれば、各控除を受けていた非納税者中、「47・5%」の人に納税義務が生じるとしています。

 さらに、「産業空洞化」が問題になるのは、日本の経済構造が「非効率」なものになっているためだ、と強調。日本の経済構造を「活性化」させるためには、「労働や資本を生産性の低い部門から高い部門に速やかに移動させる」として、企業には「経営の効率化」、銀行には不良債権の処理を通じた「資金配分の効率化」などを迫っています。

 「経済財政白書」 同白書は省庁再編に伴いそれまでの「経済白書」から「経済財政白書」に変わって二回目です。いまの経済の現状を分析するというよりも、小泉内閣の「構造改革」を推進するという結論が先にある、きわめて政治的なものに衣替えしています。副題も小泉首相のキャッチフレーズ=「改革なくして成長なし」を前回と同様に採用し、「2」をつけただけです。

 


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