2002年11月5日(火)「しんぶん赤旗」
![]() 「記者は語る・テロ1年・世界はどう変わったか」で討論する(左から)司会の三浦一夫外信部長、坂口明、西尾正哉、小泉大介、竹下岳の各赤旗記者=4日、東京・江東区夢の島総合体育館 |
「記者は語る」の特別企画として「テロ一年 世界はどう変わったか」が四日午前、夢の島総合体育館で開かれました。九・一一国際テロ事件以来、報復戦争とイラク攻撃の危険、各国で頻発するテロ事件など激動する世界情勢。ニューヨーク、アフガニスタン、アラブ諸国など現地を取材してきた四人の記者が、自らの体験を通し、戦争と平和をめぐる世界の現状を報告しました。
会場には若者の姿も目立ち、四百人が参加。「米国への怒りがこみあげる。いまこそ平和を守る運動を大きく」「世界を変えるため、日本共産党と『赤旗』の役割を胸に刻んだ」など記者の話に多くの感想が寄せられ、「戦争をくい止め平和な世界を」との思いを一つにしました。
「一夜にして街に星条旗があふれ、人々が戦争一色に染まっていくのが怖かった」という坂口明元ワシントン特派員。昨年九月十一日、ニューヨークの世界貿易センターがテロの標的にされたとき、国連総会の取材のためすぐ近くに居合わせ、現場に駆けつけました。坂口氏は、「軍事力で世界を支配しようというのが米国の一貫した戦略。戦争でテロがなくならないことは、すでに米政府自身が認めている」と語りました。
昨年からことしにかけ、パキスタンとアフガニスタン国境地帯などを訪れ、取材した西尾正哉記者は、劣悪な難民キャンプでの人々の暮らしぶりや、国に戻ったいまも破壊された街での生活は困難を極めていることを伝えました。
「人が死ぬ、傷つくとはどういうことかをはじめて実感した」と語ったのは、七月までニューデリー特派員をしていた竹下岳記者。空爆で多くの死者が出たアフガンの村を取材。生々しい実態とともに、米国のハイテク攻撃がなぜ、多くの無関係な人々を殺すのかについて、「明確な証拠もないままアルカイダが“いるかもしれない”という場所まで攻撃しているからだ」と指摘しました。
党イラク・中東訪問団に同行取材し、帰国したばかりの小泉大介記者。アラブ諸国が戦争を防ごうという強い思いで一致していることを紹介。湾岸戦争の時とは状況がまったく違うことを強調しました。
四人の記者から、米国の好戦的な態度は世界では少数派であることが共通して出されました。
司会を務めた三浦一夫外信部長は、「きょうのテーマは『世界はどう変わったか』とありますが、問題はどう変えるかということ。『戦争反対』の世論は大きくなっている。これをさらに広げれば世界は変えられる。『赤旗』はそのために力をつくして報道したい」とのべ、参加者から盛大な拍手をうけました。
横浜から参加した金谷由香さん(22)は、「記者が現地に行って感じたままのことを話してくれたのがよかった。米国はもっと世界の人々のことを考えるべきです」。友人のあゆみさん(22)は「世界のいろんなことを知ることが大切だと思いました」と感想を語りました。
「記事には書いていない“ここだけの話”が聞けるかも」との期待に、「記者は語る」には計千百五十人が参加しました。質疑応答も交えて記者と読者の温かい交流が広がりました。三日間で登場した記者は飛び入りも含めて二十一人。政治、暮らし、平和、スポーツ、科学などさまざまな分野を追う記者が「しんぶん赤旗」の役割と魅力を伝えました。「赤旗記者の苦労と努力がわかった」「新聞の読み方も変わります」など多くの感想が寄せられました。