日本共産党

2002年11月2日(土)「しんぶん赤旗」

有事3法の「修正」案

政府・与党

成立へ巻き返し狙う


 与党が「修正」案を合意したことで、「修正」協議にもちこむ動きが表面化してきました。政府も民主党などが要求してきた「国民保護法制」の輪郭をまとめました。

「試案」の思惑

 先の通常国会で有事三法案が継続審議に追いこまれた要因には、国会論戦で浮き彫りになった法案の欠陥ぶりと危険性が明らかになるにつれ、「反対」が多数を占めるようになった国民世論がありました。野党四党はこの国民世論を背景に、政府案の撤回・廃案を求める点で一致しました。

 しかし、民主党や自由党は政府案には反対しているものの、有事法制そのものは「必要」との立場です。巻き返しをねらう政府・与党はこうした一部野党の態度に注目し、「修正」協議にもちこんで、成立させようとねらっています。

 それは、与党が「修正」案に与えた位置付けにもあらわれています。

 「修正」案をまとめた十月二十九日の与党安全保障プロジェクトチームの会合は、与党三党がそれぞれ党内手続きをとった上で確定したのではなく、今後変更もありうる「試案」という形で野党に提示することで合意しました。

 その理由について、同プロジェクトチーム座長で衆院有事特別委の久間章生理事(自民党)は、「民主党との意見のすりあわせをしたほうがいい。野党に意見を出してもらい、瀬踏みをしながら、修正案の成案を出したい」(会合後の記者会見)と説明。なんとか「修正」協議の場をつくることによって、成立に向けて事態を打開したいという思惑をにじませました。

 他の与党理事は、「目標でいえば参院で成立するということ」とのべつつ、「衆院でどこまでできるかだ」と焦点を衆院通過においています。

 一方で、「強行すれば、また国会が止まってしまう。現時点での見通しは見えない」とものべるなど、政府・与党側は、成立に向けてのシナリオを描ききれているわけでもありません。

欠陥を認める

 「修正」案は、法案の中心概念である法案発動規定の「武力攻撃事態」を変更するというもので、法案の欠陥をみずから認めています。本来なら撤回し、廃案とするのが筋です。しかも、「修正」したところで、米国が始める無法な戦争に自衛隊が武力行使をもって参戦し、国民動員するという法案の危険性は何も変わりません。

 有事法案をめぐり予断を許さない局面が続くなか、廃案に追いこむための世論と運動のいっそうの強化が求められています。(田中一郎記者)

 


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