日本共産党

2002年10月22日(火)「しんぶん赤旗」

薬害肝炎集団提訴

国は責任認め謝罪を

血液行政を転換させたい 原告ら会見


東京

 有用性がないのに承認・販売された血液製剤でC型肝炎に感染させられた――製薬会社と国による薬害として二十一日、東京地裁に提訴した原告四人と弁護団が会見。“死にいたる病”にたいする不安と血液行政の転換を訴えました。

 慢性肝炎の高校生の息子をもつ関東地方の男性は、「先日、肝臓に影があると精密検査を受けました。リンパ腫が見つかり、親子で強いショックをうけました。新生児のときに血液製剤を投与されました。国は責任を認めておらず、謝罪の言葉もない。憤りを感じて提訴しました」と、声を震わせました。

 原告・弁護団は裁判の意義について、「被害の真相究明、製薬会社と国の責任の明確化、被害者への謝罪、再発防止、そして、血液行政の問題点をえぐりだし、転換させるもの」と、強調。「献血程度の出血にも止血剤として血液製剤が使われ被害が拡大した。被害者の全面救済を求め、国に政策をとらせる」とのべました。

大阪

 C型肝炎訴訟で大阪地裁に提訴した原告のうち二人が二十一日午後、記者会見し、「あの時、薬を投与されなければ」などと話し、国や旧ミドリ十字への怒りをぶつけました。

 近畿地方の四十代の女性は「投与がなければ、子育てをして、家事をしてと、普通の主婦の生活ができたのに」と今でも続く通院生活の苦しさを語りました。

国の責任解明に意義

 片平洌彦東洋大学教授(医療福祉論)の話 この訴訟の大きな意義は、C型肝炎および薬害問題の解明・解決における国の責任・役割を明らかにする点にあると思う。

 薬害エイズの安部被告刑事裁判一審判決では、「当時はウイルスの性質が未解明だった」などとして、安部被告を無罪にしたが、この訴訟でも被告側は同様に主張するだろう。しかし、肝要なのは、ウイルスの性質うんぬんではなく、「製剤の使用で肝炎が起きうる」ことがいつから予見できたかということだ。こうした疫学的視点で被告の責任を判断すべきだ。その上に立って、「第二の国民病」ともいわれるC型肝炎対策の抜本的充実をはかる必要がある。

 厚生労働省は二〇〇四年度から医薬品の審査・安全対策・被害者救済・研究振興の業務を非公務員型独立行政法人に統合しようとしている。このような公的責任を希薄化させる動きの是非を問うことも、訴訟の意義のひとつとなろう。

C型肝炎問題をめぐる主な経過

1964年 旧厚生省、旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)の非加熱血液製剤「フィブリノゲン」の製造を承認
77年12月 米食品医薬品局(FDA)、同製剤の製造承認を取り消し
79年 旧国立予防衛生研究所(現国立感染症研究所)の血液製剤部長が著書の中でFDAの承認取り消しを記述
87年3月 旧厚生省、青森県の病院からフィブリノゲンによる集団肝炎感染の連絡を受ける
4月 同省、旧ミドリ十字に自主回収と加熱製剤への切り替えを指示
11月 加熱製剤でも肝炎感染が判明
88年6月 旧ミドリ十字、医療機関に「必要最小限の投与」を求める緊急安全性情報を配布
2001年3月
 
 厚労省、三菱ウェルファーマに対し、フィブリノゲンによる肝炎感染状況の調査を命令厚労省、非加熱血液製剤によるC型肝炎感染の実態調査を実施
02年4月 40歳以上が対象の住民検診で、C型肝炎検査を実施
8月 患者約20人が「薬害肝炎被害者の会」結成
10月 患者らが東京、大阪両地裁に集団提訴

きょうから電話相談

被害救済弁護団

 C型肝炎感染問題で、薬害肝炎被害救済弁護団は二十二、二十三の両日、各地で電話相談を受け付けます。電話番号は次の通り。

 東京03(3358)3722、大阪06(6315)9988、仙台022(711)5146、名古屋052(951)1731か3226、福岡092(925)4119。

 また、二十四日以降も東京が03(5698)8592、仙台が022(211)5624、名古屋が052(953)6011で受け付けます。大阪、福岡は同じ番号。

 


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