2002年10月8日(火)「しんぶん赤旗」
「食肉業界のドン」とよばれる浅田満氏が率いる食肉大手「ハンナン」グループが、東京商銀事件で背任罪に問われた種子田(たねだ)益夫被告に約十八億円の融資を行っていたことが、七日までに同事件の裁判記録などから明らかになりました。種子田被告は、株の仕手戦に資金を流す「裏金融屋」として知られる人物。不十分な担保で巨額融資をしたハンナングループの不透明な実態があらためて浮かんでいます。
東京商銀事件で検察側が明らかにした冒頭陳述などによると、同グループは種子田被告に約十八億円を融資。同被告が実質上所有する宮崎のゴルフ場用地などを担保にしていました。しかし、これらは検察当局の調べでも担保価値の低いものとされています。
検察当局は、種子田被告が東京商銀から返済のあてのない融資を引き出すさい、ゴルフ場会員権の販売はハンナングループを「通せば売れる」と商銀側を説得したと指摘しており、両者の親密な関係がうかがえます。
種子田被告は、この事件前にも、脱税で実刑判決(上告中)を受けた人物。ゴルフ場やパチンコ店を経営する実業家ですが、旧東京二信組事件の高橋治則被告らと結びつき、株の仕手戦にも関与しています。
浅田氏は、大阪府同和食肉事業協同組合連合会と大阪府食肉事業協同組合連合会の幹部を務め、BSE対策の国産牛肉買い上げ事業では、両団体の申請量が突出していることが国会でも取り上げられました。
また浅田氏のハンナングループは、鈴木宗男被告に高級乗用車を格安で提供したほか、政治献金もおこなっています。
この問題についてハンナン株式会社は、本紙の取材にたいし「質問、取材は受けない」としています。
東京商銀事件 種子田被告が東京商銀の前理事長ら幹部二人と共謀して、回収見込みがないまま商銀側から種子田被告側に約三十二億円を融資。商銀に損害を与えたとして背任罪などに問われている事件。ことし二月に東京地裁で初公判が行われました。