日本共産党

2002年10月3日(木)「しんぶん赤旗」

政府調査団

生存の5人、本人と確認

北朝鮮 「死亡」8人の情報説明


 政府は二日、北朝鮮による日本人拉致問題の真相究明のため平壌を訪問した調査団(団長=斎木昭隆外務省アジア大洋州局参事官)の調査結果を公表しました。日朝首脳会談の際、生存と発表された五人の被害者は本人と断定。しかし死亡とされた八人については、北朝鮮側の説明を聞き一部の遺骨などを持ち帰りましたが、特定には至りませんでした。調査結果を記者会見で発表した安倍晋三官房副長官は、日本政府として「さらに調査をしていきたい」と表明しました。


 調査報告は、北朝鮮側が「平壌宣言を誠実に履行する確固とした意思をもっており、拉致問題につき可能な限り十分に情報を提供するために最善を尽くす用意がある」と説明したことなどをあげています。

 調査報告に盛り込まれた北朝鮮側の説明によると、一九七七年に拉致された新潟市の横田めぐみさん=当時(13)=は、八六年に結婚、九三年に平壌市内の病院でうつ病で自殺。

 八〇年から八三年にかけて欧州で不明になった神戸市の有本恵子さん=当時(23)=と札幌市の石岡亨さん=当時(22)=は八五年に結婚、娘をもうけましたが、八八年に石炭ガス中毒で全員が死亡したとしています。

 大韓機爆破事件(八七年)の北朝鮮工作員の日本人教育係「李恩恵」とされる田口八重子さん=当時(22)=については、北朝鮮側はそのことを改めて否定したうえで、田口さんが原敕晁さん=当時(43)=と八四年に結婚し、原さんが八六年に病死、田口さんも同年に交通事故死したと説明。このほかの死亡者もそれぞれ死亡の経緯が示されましたが、墓地はほとんどが洪水で流失したとしています。

 生存者五人とは調査団が個別に面談。このうち新潟県・佐渡島の曽我ひとみさん(43)は、八〇年に元米兵と結婚、十九歳と十七歳になる娘二人がいます。調査結果は生存者について、「北朝鮮で生まれ育った子供に配慮して、総じて早期帰国に関しては慎重であった」としています。

 調査結果は北朝鮮側の説明として、拉致事件の「責任者」が九八年に裁判にかけられ、一人は死刑、一人は長期教化刑に処せられたとしています。また「八月初め、共和国国防委員会指導部の指示で特別調査委員会を設置」したとして、北朝鮮側の調査が金正日国防委員長(労働党総書記)の指示だったことを示唆しています。

 今後の調査については、北朝鮮側が「死亡された状況についてより客観的な情報を提供できるよう、更に調査を続ける」ことを確認したとしています。

誠意を持って北朝鮮は対応

小泉首相

 小泉純一郎首相は二日昼、北朝鮮による拉致事件に関する政府調査団への同国の対応について「第一陣の調査団に対しては、誠意を持って対応された」との認識を示しました。

 さらに首相は同夜、調査結果について「国交正常化交渉は再開します。再開する中で、さらに事実解明に取り組まなければいけない」と述べ、正常化交渉の中で全容解明に全力を挙げる考えを示しました。また、「今後、平壌宣言にのっとった原則、精神について誠意ある対応を見せていただきたい」と述べ、解明に向けた北朝鮮の協力に期待感を示しました。


国交正常化交渉すすめつつ引き続き真相の全容解明を

市田書記局長がコメント

 日本共産党の市田忠義書記局長は二日、政府が公表した「拉致問題に関する現地事実調査結果」について、マスコミの求めに応じて次のコメントを発表しました。

 きょう発表された政府調査団による「拉致問題に関する現地事実調査結果」は、拉致問題の真相解明にむけた第一歩だと考える。「日朝平壌宣言」をふまえた国交正常化交渉をすすめつつ、ひきつづき拉致問題の真相の全容を明らかにする努力を求めたい。

 


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