日本共産党

2002年9月24日(火)「しんぶん赤旗」

原発の損傷隠しなど甘いはず…

電力各社→官庁へ 「天上がり」5年間で45人


電力会社からの「天上がり」
《内閣府》18人(行政改革会議事務局1、調査局6、国民生活局2、経済研究所3、政策統括官6)
《内閣官房》5人(中央省庁再編等基本法案準備室、行政改革推進事務局、都市再生本部事務局=各1、情報通信技術(IT)担当室2
《国土交通省》1人(道路局)
《財務省》3人(大臣官房)
《外務省》16人(国際エネルギー課、無償資金協力課=各3、科学原子力課4、在外大使館、気候変動枠組条約室、国際経済第二課=各2)
《厚生労働省》2人(労政局1、職業安定局1)

 原子力発電所の損傷隠しが中部電力、東北電力にも広がるなど、経済産業省原子力安全・保安院の電力会社への甘い姿勢が問題になっていますが、東京電力など電力各社から官庁へのいわゆる「天上がり」が、この五年間で四十五人にのぼることが本紙の調べで明らかになりました。

東電20人、関電は11人

 日本共産党の要求にもとづく各省庁の予算委員会提出資料によるもの。一九九七年度から年度ごとに報告されており、最終時点は昨年十二月末現在。

 これによると、内訳は、東京電力が二十人でもっとも多く、関西電力十一人、中部電力七人、東北電力、四国電力各三人、日本原子力発電一人。省庁別では、内閣府十八人、外務省十六人、内閣官房五人、財務省三人、厚生労働省二人、国土交通省一人(別表参照)。外務省十六人のうち、八人が常勤のほかは、すべて非常勤職員でした。

 このうち、原子力安全委員会が置かれている内閣府には、政策統括官(科学技術政策担当)付の「参事官(原子力担当)付」として、東京電力、関西電力、日本原子力発電の各一人が入っています。同「参事官(原子力担当)付」には、電力会社だけでなく、東電福島第一原発4号機のデータ虚偽記載問題で隠ぺいに加担した日立製作所も二人います。

 また、外務省の科学原子力課や国際エネルギー課にも、関西電力五人、東京電力二人が所属しています。

 「天上がり」は、企業を監督する行政官庁に営利企業の社員が「人事交流」の名のもとに「任用」されます。官民癒着の温床になっており、行政の公正な執行を確保するうえで大きな問題があります。

旧通産省から役員に天下り

損傷隠し電力3社

 原子力発電所の損傷隠しをしていた東京電力など三電力会社に、監督官庁の旧通産省OBが天下りしていたことが二十三日、分かりました。

 今年三月決算の有価証券報告書によると、東京電力、中部電力、東北電力の三電力会社の役員に、旧通産省OBが各一人就任しています。

 東京電力の白川進氏は、旧通産省資源エネルギー庁次長、大臣官房総務審議官、基礎産業局長などを歴任後、日本輸出入銀行理事をへて、一九九九年十月、同社顧問に就任。二〇〇〇年六月に取締役東京西支店長、現在は取締役神奈川支店長です。

 中部電力の水谷四郎氏は、経済企画庁日銀政策委員、旧通産省生活産業局長の後、二〇〇〇年七月に同社支配人企画部部長に就任。現在は、取締役静岡支店長をつとめています。

 東北電力の佐々木恭之助氏は、旧通産省退職後、九八年七月に同社顧問に就任。取締役経営管理部長をへて、現在、常務取締役福島支店長となっています。

 


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