2002年9月23日(月)「しんぶん赤旗」
パレスチナ自治政府議長府に対するイスラエル軍の攻撃に対して、ヨーロッパや中東から厳しい批判があがっています。
ロイター電などによると、イワノフ・ロシア外相は二十二日、声明を発表し、「現時点においては、パレスチナ自治政府議長府の封鎖と破壊をやめることが重要だ」とイスラエルに求めました。一方、パレスチナ自治政府に対し、過激派による攻撃を中止させ、テロ攻撃の関連者を逮捕するように求めています。
フランスのドビルパン外相は、「ラマラのパレスチナ自治政府に対する攻撃は受け入れられない。ただちに攻撃を停止するよう求める」との声明を発表。「イスラエル政府に対してもう一度、パレスチナ自治政府議長および関係者を一切傷つけないよう求める」と強調しています。
シラク大統領は二十日夕、アラファト議長と電話で会談。大統領報道官は、「パレスチナを孤立させることは肯定的な影響をもたらさない」と語りました。
欧州連合(EU)のソラナ共通外交・安全保障上級代表は、イスラエルに対して「最大級の懸念」を伝えたとし、「イスラエルの安全保障は協調と対話によってのみ保障される」とのべました。
一方、エジプト外務省筋によると、マーヘル外相は二十一日、ドビルパン仏外相に電話で、イスラエル軍のラマラでの行動を中止させるため介入するよう求めました。マーヘル外相は記者団に対し、「(イスラエルの行動は)すべての合意と人道上の諸原則に違反している。イスラエルが平和を摸索していないことの表れだ」と非難しました。
国営シリア通信は、アラファト議長府への攻撃は、世界がイラク問題に集中していることをシャロン・イスラエル首相が利用したもので、ヨルダン川西岸からパレスチナ人を追放する計画の始まりでしかないと報道しています。
サウジアラビアのアルワタン紙は、「シャロンは、世界がテロやイラク問題などとらわれている事態を利用して、戦争を続けている」と批判しています。
イスラエルのハーレツ紙は二十二日付社説で、「(イスラエルによる)アラファト包囲攻撃は、(イスラエル)政府が、テロを防げないという無能さから注意をそらせようとするものであり、イスラエル同様パレスチナにも希望をもたらす政治的パイプをのぞまないことを示したものだ」と非難しています。