日本共産党

2002年9月22日(日)「しんぶん赤旗」

イラクなどへの核査察をどうみる?


 〈問い〉 核実験をしたインド、パキスタンには核査察はなく、イラクや北朝鮮には核査察を要求するのは整合性がないと思いますが。 (秋田・一読者)

 〈答え〉 イラクへの核査察は、イラクのクウェート侵略にたいする湾岸戦争(一九九一年)の停戦をとりきめた国連安全保障理事会の決議六八七にもとづきます。この決議でイラクは、核兵器を含むすべての大量破壊兵器と中・長距離ミサイルを廃棄し、検証のため査察を受け入れる義務を負いました。

 決議は同時に、これが「中東に大量破壊兵器と運搬用ミサイルが存在しない地帯をつくるという目標」の一環だと明記しています。イラク査察は、核兵器保有を指摘されるイスラエルを含め、中東全体から大量破壊兵器をなくす努力の一環としておこなわれるべきです。

 北朝鮮への核査察要求は、核不拡散条約(NPT)にもとづきます。NPTは従来の核保有国(米英仏ロ中)には核兵器保有と開発の権利を認める一方、他の加盟国には核兵器保有を禁じ、検証のための査察受け入れを義務付けています。北朝鮮はNPT加盟国で、査察受け入れは条約上の義務となります。

 しかしこの条約は、すべての国の対等平等が国連憲章の原則なのに、核保有国にだけ核兵器独占を認めるたいへん差別的なものです。しかもアメリカなど核兵器国は、条約に明記された核軍縮に努力する約束を踏みにじって核独占体制の恒久化をはかり、特にアメリカは、非核保有国に一方的に先制核攻撃を加える戦略まで公然の方針にしています。

 NPTの矛盾と破たんを極めて危険な形で示したのが、NPTの差別性を理由に加盟していない、インドとパキスタンの核実験(一九九八年)でした。NPTの核独占体制では核兵器拡散は防げず、新たな核兵器保有の衝動さえ生むことが明らかになりました。

 悪循環を断つには、たしかな検証をともなった核兵器廃絶に踏み出すしかありません。

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 〔2002・9・22(日)〕

 


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