2002年9月16日(月)「しんぶん赤旗」
熊本県相良村に建設が予定されている川辺川ダムの是非を討論する第四回「川辺川ダムを考える住民討論集会」が十五日午後、熊本県庁地下大会議室で開かれました。主催は国土交通省。
今回の集会では、大雨洪水の被害、八十年に一度の洪水時の水量である基本高水流量、現在の川でどれだけの水を流せるか、などについて論議されました。
「ダムはいらない」と主張する住民側専門委員は、国が主張する基本高水流量七千トンについて、流域の人吉地区での基本高水流量が国側内部資料(球磨川水系治水計画検討業務報告書)でも五千四百九十トンから六千六百三十トンとなっていることや、国の計算が古い手法で三十七年前のデータを基にはじき出された数値であることなどを指摘し、「国の基本高水流量は過大」と批判しました。
さらに、国の報告書を基に、過去の洪水でも十分に流れるほど河川改修が進んで、河川の流下能力は向上していることを指摘し、「計画どおりに河川改修が進めばさらに流れることになり、ダムがなくても水害は防ぐことができる」と主張しました。
住民側はまた、国側が示している過去の洪水被害の死者について、ダム上流や支流でのがけ崩れや山津波などで死亡している事実を指摘し、「ダムをつくっても、こうした被害はなくせない」と訴えました。
これに対して、国交省側は、内部資料の存在を認めたうえで、「さまざまな検討の一つでしかない」とのべました。
会場からは「過去三百年以上七千トンの洪水はないのに、なぜ八十年に一度が七千トンなのか」など、国側のダム推進の根拠への疑問や批判が出されました。