2002年9月12日(木)「しんぶん赤旗」
アメリカがイラク攻撃の準備をすすめ緊迫するなかで迎えた米同時テロ一周年の十一日、「テロも戦争も許さない」「アメリカはイラク攻撃をやめよ」「有事法制反対」とよびかける行動が全国で繰り広げられました。
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東京・早稲田大学の学生を中心につくる平和サークル「Waseda Peace Walk」は十一日、同時テロ犠牲者追悼とテロ・報復戦争反対を訴え、同大学の大隈講堂前からJR高田馬場駅前までピースウオークをおこないました。
英語やアラビア語などで「平和」と書いた横断幕をかかげた学生など五十人が参加。出発に当たりおこなわれたトークでは、同時多発テロで早稲田大学の学生が犠牲となったことにもふれて、「報復戦争では犠牲者は絶対に喜ばない」と語り合いました。「イラク攻撃でも有事法制でもなく、日本の憲法九条を世界にひろげていこう」との訴えがありました。
ウオーク中には、商店街の店主らが店からでてきて激励。飛び入りで参加した学生は、「こうやって身近から平和を訴えていくのが大事と思う」とマイクを握りました。
「通りがかりの人がビラをどんどん受け取ってくれて、やっぱりみんな関心があるんだ」と、友だちに誘われて初めて参加した立教大学の女子学生(19)。「こうやってちょっとずつ行動していくことが平和につながるんですね」
同じく初参加の日本女子体育大学の学生(20)は、「アフガニスタン空爆はすごく悲しかったけど、自分一人ではなにもできないとあきらめてました。今回、こういう行動があるのを知って、自分でもなにかできたことがすごくうれしい」と語っていました。
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安保破棄中央実行委員会・東京実行委員会と有事法制許すな!運動推進連絡センター、日本原水協は十一日、東京・新宿駅西口で「アメリカのイラク攻撃許すな」と宣伝行動を行いました。
行動には二十三団体から八十人が参加。有事法制反対の署名やアメリカのイラク攻撃の賛否を問う「シール投票」を呼びかけるメンバーと通行中の人が対話する姿があちこちで見られました。
署名に応じた保高愛子さん(17)は「テロには反対です。だからといって武力で(報復)攻撃することにも反対です。アメリカは、こんどはイラクを攻撃しようとしているということですが、話し合いで解決してほしいです」と語っていました。
受け取ったビラを手に演説を聞いていた中村義彦さん(43)。「アメリカは、好戦的な姿勢を強めている。これに小泉首相がホイホイとついていっている。何か怖い感じがする」といって署名していました。
宣伝カーからは、女性や労働者、法律家などの団体の代表、日本共産党の小泉親司参院議員が訴え。テロ犠牲者を追悼するとともに「テロ根絶は軍事力でなく、法と理性にもとづいて解決すべきだ。アメリカの戦争拡大政策を大きな世論の力でくいとめよう」と力を込めました。
民青同盟は十日、東京・渋谷駅前で「米軍はイラク攻撃するな。有事法制は廃案に」と宣伝しました。9・11同時多発テロ一周年の前日とあって、道行く青年の関心も高く、一人一人とじっくり対話する姿が目立ちました。
昨年十二月までアメリカに留学していたという目黒区の女性(23)は「テロ後、アメリカは集団ノイローゼのようでした。報復では解決しないのに『平和』のために戦争するなんて、何も分かってないのかと思う。(有事法制については)決めた人は無責任。アメリカに言われたからやるのではなく、日本として本当にやりたいのはなんなのかを考えるべきです」と、有事法制に反対する署名に応じていました。
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明るい革新日本をめざす中央青年学生連絡会議(中央青学連)は十一日、川口順子外務大臣にたいし、アメリカにイラク攻撃の中止をもとめること、憲法九条の立場にたった外交努力でテロや戦争の根絶をすすめることを申し入れました。
日本民主青年同盟の坂井希委員長は、渋谷駅前で行ったシール投票のボードを示しながら、「多くの青年が、アメリカのイラク攻撃に反対し、日本政府には九条を守ってイラク攻撃に反対してほしいと願っている」と紹介。「“悪の枢軸国”への先制攻撃も辞さないというアメリカの考えにたいし、日本政府の見解は」(岩佐規正・全労連青年部長)、「有事法制制定の動きに、海外での武力攻撃に道を開くのではと、学生の危ぐが広がっている」(中平智之・全学連委員長)などの発言が続きました。
応対した外務省北米局の長嶺安政局長補佐・審議官は、アメリカのアフガニスタン攻撃が、テロにたいし「成果をあげている」と“評価”。イラクへの攻撃計画について「米国が軍事攻撃を最終的に決めていないいま、日本政府の見解を言うのは適当でない」と答えるにとどまりました。
申し入れには、日本共産党の小泉親司参院議員が同席。一行は、アメリカ大使館で、同様の申し入れを行いました。
二十一世紀に輝け憲法九条―女性の憲法連絡年連絡会が十一日、アメリカ大使館に「イラク攻撃計画の撤回を」と要請しました。
参加者は、同大使館前で、世界の平和に挑戦するイラク攻撃を批判し、「国連憲章に基づく世界の平和秩序を守れ、核兵器を使用するなという世界の人々の声を聞き、イラク攻撃計画を直ちに撤回」するよう求める要請文を読み上げました。
新日本婦人の会、婦人民主クラブ(再建)も同趣旨の要請をおこないました。
婦人民主クラブ(再建)の佐藤紀子副会長は、「テロは許せません。でも、それを報復戦争にしてはいけない。アメリカでも数万人が平和を守る集会を開いたと聞いています。日本でも、アメリカに追随して国民を戦争に動員する『有事法制』を廃案にさせなくては」と語っていました。