日本共産党

2002年9月12日(木)「しんぶん赤旗」

自然と共生する登山とは

「トイレシンポ」で交流

市毛良枝さん 「人任せにせず考えよう」


 登山者の増加とともにその排せつ物が山岳自然環境に大きな影響を与えています。自然と共生する21世紀型の登山とトイレの整備はどうあるべきか――。「第4回全国山岳トイレシンポジウム」(5、6日)が富山市内で開かれ、登山、山小屋、トイレ業者、行政などの関係者が意見を交わしました。(青山俊明記者)


 シンポジウムでは、トイレの処理システムの評価、費用負担、地域にあった方法の研究などについて、活発に論議を深めました。

 とくに参加者の共感を呼んだのは、女優の市毛良枝さんの基調講演でした。登山歴11年の市毛さんは「登山は最小限のものさえあれば十分楽しめる。山は何もないからいい」。山のおもしろさは不便なところにあるという市毛さんは「トイレも都会といっしょと思ってしまったら、利用者にとってもよくない。処理の方法や費用など登山者にもわかるようにして協力してもらうことが大切」と指摘。「いつまでも自然のままでいてほしいから、登山者が参加できる問題としてトイレのことも人任せにしないでほしい」と訴えました。

 東京都山岳連盟の椎名宏子さんは、登山者が3年間にわたって水質調査をしてきた経験を紹介。多くの人間が山に入れば水が汚れることは明らかになっていると強調。高尾や雲取山の例を挙げ、「山の上のトイレは改修などに苦労している。できる限りふもとに造るべきだ」と主張しました。

 徳島・三嶺(みうね)を守る会の暮石洋さんは20年近く放置されていた三嶺山頂のトイレから、今年4月にし尿をすべて担ぎ下ろした際に苦闘した経験を報告。登山者の7、8割が利用する林道沿いにトイレを設置すべきだと述べました。

 日本勤労者山岳連盟の西本武志理事長は「特定山域への集中などで自然を傷つけてきた責任は登山者自身にもある。どういう登山をすべきか真剣に考えていかなければならない」と発言。ツアー登山を主催する旅行会社からは「添乗員やガイドが安全面だけでなく、環境保全でも責任を果たす必要性がある」という意見が出されました。

 最後に、日本トイレ協会の上幸雄(うえ・こうお)理事長が「山岳トイレ問題の解決に自信が持てるようになった。数年後には、めどがつくように努力しよう」と結びました。

 


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