2002年9月12日(木)「しんぶん赤旗」
米国での同時多発テロ一周年を迎えた十一日、テロの現場となったニューヨークでは、犠牲者を追悼する公式の式典が行われたほか、十日夜には「犠牲者とわれわれの名をかたって戦争することを許すな」と遺族らが独自の追悼集会を開きました。日本の各地でも、「テロを国際世論でなくしていこう」「アメリカはこれ以上、戦争を拡大するな」とピースウオークやキャンドルパレード、街頭ライブ、市民集会、街頭宣伝など多彩な行動が行われました。
同時多発テロで世界貿易センタービルが崩壊したニューヨーク市では午前八時四十六分(日本時間午後九時四十六分)に事件現場で公式追悼式が行われたほか、全市五区でそれぞれ黙とうがおこなわれました。首都ワシントンでは同時刻にホワイトハウスでブッシュ米大統領も参加した追悼式典が、これに次いでやはりテロの標的となった国防総省でも式典が行われ、ブッシュ米大統領が演説。同大統領はこのあと、ハイジャック機が墜落したペンシルベニア州シャンクスビルでの追悼式典に出席しました。また、シカゴやロサンゼルスなど全米各地で追悼式典がおこなわれました。
原水爆禁止世界大会にも参加したアメリカンフレンズ奉仕委員会は十一日朝五時半から、ペンシルベニア州のフィラデルフィアでキリスト教徒やイスラム教徒など宗教・宗派を超えた団体などの参加で平和と正義の集いを開きました。このほかロードアイランド州のプロビデンスなど全米各地で公式行事とともに反戦団体主催の戦争拡大に反対する集会が行われました。
アフガニスタンからの報道によると、同時テロ一周年を迎えた同国では十一日、米軍部隊と国際治安支援部隊(ISAF)の追悼式典が行われた首都カブール郊外のバグラム米空軍基地近くで小銃が乱射されるなど、緊迫した情勢が続いています。
同日には、米軍特殊部隊が使用しているホスト飛行場にロケット砲少なくとも四発が撃ち込まれました。
また東部のガルデズ近郊の特殊部隊基地にも二発のロケット砲が撃ち込まれたといいます。
![]() 沿道の人たちにテロ、報復戦争、有事法制反対、憲法九条を守ろうとよびかけたピースウオーク・イン・渋谷に参加した青年=11日、東京 |
「命 私たちはすべてのテロ、戦争を絶対拒否します」
十一日夕刻から東京・渋谷区でおこなわれた「9・11ピースウオーク・イン・渋谷」(同実行委員会主催)。大崎高校定時制四年の田代雄也さんら若者二十五人が呼びかけたこの日の行動には「友達にさそわれた」「何かしなければ」と立ちあがった多くの初参加者が目だち、主催者の予想を超えた二百人の若者が参加しました。
「私たちといっしょに歩きませんか」の呼びかけに飛び入り参加者もぞくぞく加わりました。
集会に初参加の高校生、松崎千恵子さん(16)は、「一年前のテロはひとごととは思えない。でも、力で解決してほしくない。殺し合いは、絶対許せない。有事法制も核兵器もなくしたい」。
高校生のころから平和ゼミナールをやっていたという大学二年の正岡義之さん(21)。「行動に起こすことが大事だという思いが芽生えてきました。みんなと協力することが平和に結びつくと思う。これからも友達を少しずつ誘っていきたい」と語りました。
この日、「アメリカのイラク攻撃反対」「有事法制許すな」などの行動が全国でおこなわれました。
福島県では、青年の平和サークル「Peace pupa(ピュパ=さなぎ)」が福島市の街なか広場でチャリティーライブを開催し、音楽で平和を訴え。京都市では、日本民主青年同盟京都府委員会が呼びかけたキャンドル・パレードに青年が次々と参加しました。
東京・港区の米国大使館や大阪市北区の同領事館には「イラク攻撃反対」を申し入れるなど、同時テロとアメリカの報復戦争を契機に平和のとりくみを強めてきた青年、女性や宗教者らが、思い思いの方法で平和をアピールしました。