日本共産党

2002年8月31日(土)「しんぶん赤旗」

解説

小泉首相の訪朝発表

日朝、南北関係が連動


 三十日、東京と平壌で小泉首相の北朝鮮訪問が発表され、ソウルでは鉄道・道路の連結工事の同時着工と京義線鉄道の年内連結で南北朝鮮が合意しました。南北の離散家族再会を話し合うための初の南北赤十字総裁会談も決まりました。韓国内では、九月二十九日から釜山で開催されるアジア大会に合わせ金正日・朝鮮労働党総書記が訪韓する、との報道が駆け巡りました。朝鮮半島情勢の急展開が続いています。

 対立と不信が続いた東アジアは、韓国の金大中政権が北朝鮮との和解をめざす「太陽政策」を推進し、二〇〇〇年の南北首脳会談を実現したことで大きく動き始めました。その後、ブッシュ米政権が「大量破壊兵器の開発・拡散」を理由に米朝関係改善を中断し、日本政府は日本人拉致疑惑を前面に出して日朝国交交渉が停滞しました。

 一方、北朝鮮の金正日政権は「実利の獲得」を強調し、周辺諸国との関係正常化をめざす積極外交を加速化させ、南北、日朝、米朝の対話が再開しました。同時に、国家の一元的な計画経済から分権化を進める経済運営の転換に乗りだし、内政外交の両面で変化を見せています。

 京義線鉄道の連結は、南北合わせて八十万人の軍隊がにらみ合う休戦ラインの一部に風穴を開けるもので、南北間の緊張緩和への第一歩です。日朝国交樹立は、半世紀以上も隣国同士が外交関係を持たない不正常な関係を終わらせます。いずれも、東アジアの平和秩序をつくる道を開くために必要な課題です。

 北朝鮮を「悪の枢軸」と決めつける米政権も、小泉首相の訪朝を歓迎し、対話による解決に支持を明らかにしました。訪韓中のボルトン国務次官(軍縮・国際安保担当)は二十九日の講演で、「米国は北朝鮮を侵攻する意志はない」、「北朝鮮に対話を提案する立場は維持している」と強調しています。

 関係国が一堂に会する信頼醸成機構が存在しない東アジアで、地域の平和と安定の成否は二国間対話と信頼醸成の積み重ねにかかっています。国益と地域全体の利益をかみ合わせた外交が求められています。(面川誠記者)

 


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