日本共産党

2002年8月25日(日)「しんぶん赤旗」

列島だより

場外ギャンブル券売り場の設置――

街を汚します

広がる誘致反対運動

 場外ギャンブル券売り場設置が全国各地で問題になっています。不況・不景気につけこんでのギャンブル誘致の動きにたいし、住民は「環境破壊、交通渋滞、青少年への影響が心配。ギャンブルは街を汚す」「ギャンブルは教育・福祉のまちづくりに逆行する」と、会を結成するなどして、反対運動をすすめています。


東京・豊島区

住民・区・議会総ぐるみ

国に繰り返し不許可要請

 東京・豊島区では、池袋駅東口に競輪・オートレースの場外車券売り場を設置する計画に、区と区議会が主催した緊急区民集会(六月二十四日)に千人が参加するなど、区民、区長、区議会が一致しての反対運動が大きく広がっています。設置事業者のアレッグ・サテライトは、経済産業省に設置許可の申請を提出(六月十一日)し、計画の行方は国の動向に委ねられた状態です。

 計画では、地上八階、地下二階、収容人数約三千人のビルを建設。年間、競輪が三百日(ナイター含む)、オートレースが二百日(同)、車券を販売する予定です。競輪とオートレースの両車券を販売するのは、国内で初めてです。

 計画地の周辺は、ショッピング街や文化施設などが立ち並んでいます。豊島区役所も目の前で、学校も多数あり、青少年への影響を心配するPTA関係者や子育てグループなどからも、強い反対の声が上がっています。

 「池袋の競輪・オートレース場外車券売り場設置に反対する会」(民主団体、日本共産党などで構成)の横井容子代表は、「この辺りは学校も多い。電車通学する子も多く通ります。絶対に反対です」と話します。地元町会の一つ、池袋東口本町会の役員は、「区役所もあり、区のメーン玄関ともいえる場所につくるなんて、区民を侮辱するもの」と怒ります。

 設置事業者は、経済産業省に設置許可申請を提出したのに続き、地元で「説明会」を強行するなど、あくまで設置計画を進める構えです。

 区民、区、区議会は、設置許可をしないよう国にくり返し要請。七月二十六日には、日本共産党の緒方靖夫、井上美代両参院議員が同席して、地元の町会や商店街役員が平沼赳夫経済産業相に要請しました。同二十九日には、反対運動を進めてきた町会や「反対する会」、豊島区民オンブズマンなど、幅広い団体、個人が結集して、「池袋東口場外車券売り場設置反対連絡協議会」を結成、計画を断念させるまで頑張る決意を固めました。

 日本共産党区議団は区民とともに、設置反対の請願・陳情の採択や、設置規制条例の制定に力を尽くしています。千葉宏団長は、「設置許可をめぐっては、いぜん緊迫した状況です。国への働きかけなど、区民、区、区議会が一致した反対運動を、いっそう強めることが求められています。党区議団も力をあわせて頑張ります」と話しています。

(東京都・長沢宏幸記者)


「会」結成しアンケート

青少年に悪影響反対63%

山口・小郡町

 山口県小郡町で、日本中央競馬会(JRA)の場外馬券売り場「ウインズ」の誘致問題をめぐって町民の反対運動がおきています。

 一九九五年、同町仁保津地域の地権者が仁保津第二土地区画整理組合を結成し、企業誘致をしようとしましたが失敗。代替策として、ウインズ誘致を進めようとしたのが発端です。一日平均六千八百人、同来場車両二千七百台を見込む計画でした。

 日本共産党町議団(五人)は賛否をふくめて論議が必要として、教育関係者や住民代表、議会代表など二十人で構成する「ウインズ小郡(仮称)設置検討委員会」を提案、一年かけて論議、その結果、賛否両論を併記した「広く町民の意見を聞きながら慎重に判断」するよう報告書を町長に提出しました。

 今年三月、町民は「ギャンブル場は教育・福祉の町づくりに逆行する」として「ウインズはいらない町民の会」(江原貢慈会長)を結成し、七月初めからは場外馬券売り場に関するアンケート調査を実施しています。十九日現在、誘致反対が賛成の倍近く、63%になっています。その理由として「町づくりにふさわしくない」「青少年への悪影響が心配」「ウインズにかわるものを設置を」などがあがっています。

 町議会は誘致決議を採択(日本共産党は反対)し、岩城精二町長も「町の負担もないので誘致表明をしたい」と述べていますが、JRAにたいし同意書はまだ提出していません。

 江原会長は「交通や教育のうえで問題のあるウインズの誘致は絶対にやめさせなければいけません。今後も反対運動を広げていきたい」と語っています。

(山口県・松尾俊則記者)


あいまいな交通渋滞対策

宮城・塩釜市

賛成派も「話がちがう」

 日本中央競馬会(JRA)が宮城県塩釜市に予定している場外馬券売り場「ウインズ」の設置計画では、駐車場などが示されず、誘致に同意してきた地元町内会からも「話がちがう」との声があがっています。日本共産党の矢島恒夫衆院議員、松本善明衆院議員(秘書)らはさる二日、現地に入り、住民や推進派の人たちから意見を聞きました。

 JRAは地元にたいし、一日一万四千人の集客で、仲卸市場の活性化につながるなどと説明してきました。新浜町の六つの町内会は、同意書を提出しましたが、その際、交通渋滞や違法駐車の解消、交通安全の確保などの条件を示しました。はっきりした回答がないため、昨年八月、三町内会がウインズ専用駐車場の確保を求める要望書を提出しています。ところが、JRAからは、回答がありません。

 ある町内会の役員は、「仲卸市場の活性化など、最初は願ってもない話だったが、話がちがう。無条件に同意したのではない。駐車場がつくられないのであれば、(同意書の)白紙撤回も考えざるをえない」と述べています。

 設置が予定されている同市新浜町の住民らは、「ウインズができれば、想像もつかない車のはんらんになる」などと訴えています。

(宮城県・辻畑尚史記者)


 場外ギャンブル券売り場 場外馬・車・舟券売り場はそれぞれ競馬、競輪・オートレース、競艇にあたります。場外で売り場を設置し、券を販売します。監督官庁も、競馬は農水省、競輪・オートレースは経済産業省、競艇は国土交通省です。

 


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