2002年8月25日(日)「しんぶん赤旗」
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戦争遺跡や資料を保存・活用して戦争の実相を次世代に伝えようという運動がひろがっています。二十四日から二日間の日程で、山梨県甲府市の山梨学院大学を会場に戦跡保存全国シンポ山梨大会が開かれました。
一日目の全体集会には全国から約二百人が参加しました。基調報告をした、戦争遺跡保存全国ネットワークの村上有慶代表は一九九七年の全国ネット結成以来の取り組みを振り返り、戦争体験世代が少なくなり、戦争の記憶が人からモノに変わりつつあるなかで戦争遺跡の重要性が増している、とのべました。
今年八月、文化庁が「地域別詳細調査対象物件」として戦争遺跡を選定したことにふれ、「選定から落ちている重要遺跡が多い。今後、自治体と協力して文化庁に働きかける取り組みが必要だ。私たちの運動は単なるモノを残すものではない。日本国憲法の立場からの平和を守る視点ぬきには、本当の意味で戦争遺跡を残すことにならない。戦争の語り部として戦争遺跡を残し、平和を守ろう」と訴えました。
シンポジウム「21世紀における戦跡保存運動の課題」では、長野県の松代大本営の保存をすすめる会事務局長の大日向悦夫氏、考古学研究者の菊池実氏、立命館大学平和ミュージアム学芸員の山辺昌彦氏が報告。「有事法制が出されるなか、若い世代に戦争遺跡という『過去』から未来に向かっていく力を培っていくことが重要だ」(大日向氏)などの意見が出ました。
大会には中国・東北烈士紀念館・黒龍江省革命博物館副館長の于濱力氏が参加、中国東北部の戦争遺跡群について報告しました。参加者は、太平洋戦争末期、朝鮮人を使って急造された韮崎市の七里岩地下壕群、甲府市の旧陸軍甲府連隊糧秣庫(りょうまつこ)跡を見学しました。