2002年8月23日(金)「しんぶん赤旗」
埼玉県三郷市の「みさと健和病院」で今年四月、大腿(たい)骨骨折で入院し、手術を受けた市内在住の女性(55)が輸液の過剰投与や人工呼吸中の挿管チューブが抜けるなどの医療事故で死亡し、松山公彦院長(50)らが二十二日の記者会見で経過説明とおわびをおこないました。
松山院長の説明によると患者は三年前から糖尿病と原発性副甲状腺機能亢(こう)進症で同病院に通院し、二年前から往診を受けていましたが、今年四月六日、自宅で転倒し右大腿骨顆(か)上骨折のため入院。同月十五日に髄内釘(てい)固定の手術をおこないました。手術中に血圧が低下し、昇圧剤を投与したものの血圧が安定せず、脱水状態もあったため、生理食塩水などを輸液しました。このなかで輸液過剰による急性うっ血性心不全をおこし人工呼吸器で管理しました。翌十六日、看護師三人が患者をベッドに固定していた抑制帯を外して清拭(せいしょく)し、再び固定しなおそうとした時点で、患者の手がチューブに届き、チューブが抜けかかりました。直後にそのことに気づき、医師が再挿管をこころみましたが、心肺停止となり、救命処置をおこなったものの意識は戻らず、先月十日に亡くなりました。
松山院長は、事故当初より家族に事実経過を説明し、埼玉県医師会医事紛争審査会にも事故報告書を提出し病院の責任を明らかにしてきた経過を説明。「患者や、家族の信頼と期待に十分こたえられなかったことに、心よりおわび申し上げます」とのべ、再発防止と安全な医療への取り組みを強化していく決意を語りました。