日本共産党

2002年8月15日(木)「しんぶん赤旗」

農水省調査

日ハムぐるみを否定

牛肉偽装 “統一的指示認められず”


 農林水産省は十四日、日本ハムグループによるBSE(牛海面状脳症)対策の国産牛肉の買い上げ事業を悪用した牛肉偽装問題で、偽装が日本ハムグループぐるみで行われたとする疑惑についての調査結果を発表しました。

 調査結果は、偽装を行った日本フードの三営業部長が「独断で実施した」と供述していることや、偽装の方法が一部で異なっていることなどをあげ、「現時点の調査結果では」、「統一的な指示があったと断定することには無理がある」と述べ、日本ハムグループぐるみの偽装について否定的な見解を示しました。

 日本ハムとハム・ソー組合との買い取り申請時の契約は、息子の大社(おおこそ)啓二日本ハム社長と父親の大社義規ハム・ソー組合理事長(日本ハム会長)とでかわされていたことを明らかにしています。

 また、ハム・ソー組合が日本ハムの問題の牛肉を契約解除し、返却したことに関して、同社側から同組合に働きかけがあったことが分かりました。同社専務が、補助対象外の牛肉を業界で取りまとめて取り下げ申請してはどうかという趣旨をハム・ソー組合の専務に伝えているとしています。

 同省は、偽装を行った日本フードの姫路、徳島、愛媛の営業部長と日本ハムの専務について刑事告発を検討しています。

日ハムと子会社業務自粛を表明

社長辞任は考えず

 農林水産省は十四日、日本ハムグループの牛肉偽装問題で、日本ハムの大社啓二社長を同省に呼び、同社の業務の一部と子会社の日本フードの牛肉関連事業について、業務を自粛するよう指導しました。この後、大社社長は記者団に対し、十五日から業務自粛に踏み切ると表明。さらに、関係者の処分を二十日に発表するとしましたが、引責辞任については「現在は考えていない」と述べました。


解説

日ハムの言いぶん丸のみ調査

 BSE(牛海綿状脳症)対策の牛肉買い上げ事業をめぐる日本ハムの肉偽装問題で、「組織ぐるみの犯罪」とは「現時点では断定は無理」とした農水省の調査結果は、大きな疑問を残すものです。

 同省「調査」の根拠は、直接偽装にかかわった子会社の三営業部長が、そろって本社の関与を否定していることを最大の理由としてあげています。

 「調査」では、買い上げの窓口になっている日本ハム・ソーセージ工業協同組合(ハム・ソー組合)との買い上げの申請の契約は大社啓二社長とハム・ソー組合の大社義規理事長(日本ハム会長)の間で結ばれていたことが明らかになっています。このこと自体が、同社とそのトップの責任を示すものです。ところが、日本ハム側が契約の詳細について「社長には報告していないと主張」したのをうのみにする格好で同社をかばう報告となっています。

 ハム・ソー組合が偽装・証拠隠滅に共謀したのではないかという疑惑でも同様に、相手の言い訳を丸のみした対応となっています。

 農水省の業界に甘い対応は、今回に限ったことではありません。買い上げ事業をめぐる検査でも、当初は、抽出検査だけでよしとして、肉偽装が続発するなかで、十二月下旬の検査開始から四カ月近くたった四月下旬になってやっと全箱検査を実施しはじめました。また、買い取り申請をした企業名の全容や肉焼却の詳細もいまだに明らかにしていません。

 こうした対応の背景には、農水省と業界の癒着の構図があります。ハム・ソー組合の石浜克夫専務をはじめ、業界には農水官僚が多数天下っています。また、自民党農水族議員も大きな影響力を発揮しています。この政官業の癒着トライアングルを断ちきることも至急の課題です。(森近茂樹記者)

 


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