日本共産党

2002年8月10日(土)「しんぶん赤旗」

指定にむけ調べます

戦争遺跡50件

畑野参院議員に文化庁が資料開示


写真
松代大本営地下壕を見学する高校生たち(2001年12月)

 文化庁の近代遺跡調査等検討会(会長・鳥海靖中央大教授)が、将来の国指定史跡もふくめて選定をすすめてきた、軍事にかんする近代遺跡(戦争遺跡)の詳細調査対象遺跡・五十件が九日、判明しました。これは文化庁が日本共産党の畑野君枝参院議員の資料開示要請に応じて明らかにしたものです。

 戦争遺跡とは、日本がアジア諸国への侵略戦争を行うなかで戦闘や事件、空襲など、国内外に形成された建物や遺構、跡地をいいます。世界遺産に登録された広島の原爆ドームは有名です。

 検討会は一日の会議で、戦争遺跡の「地域別詳細調査対象物件」の五十遺跡を選定。文化庁に報告しました。

 選定された戦争遺跡は、旧海軍土浦飛行隊関係遺跡(茨城県阿見町)、浅川地下工場跡(東京都八王子市)、日吉台地下壕(横浜市)、松代大本営予定地地下壕(長野市)、大阪北部の地下壕群(高槻市・茨木市)、旧海軍呉鎮守府及び呉海軍工廠関係遺跡(広島県呉市)、大津島回天特別攻撃基地(山口県徳山市)、知覧町戦争関連遺跡(鹿児島県知覧町)、南風原陸軍病院壕(沖縄県南風原町)などです。

 検討会の鳥海会長は「詳細調査が、ただちに国指定史跡対象ではないが、今後、全国の自治体、地元研究者らと連絡をとりながら調査をすすめることになるだろう。戦争の評価は人により分かれるが、戦争の実態を知らなければ、平和や戦争について考えられない。そのためにも近代遺跡の保存は重要だ」と語っています。

 詳細調査対象遺跡は、全国の自治体から寄せられた近代遺跡・五百四十四件(幕末・明治維新期の二十四件をふくむ)から五十件に絞り込んだもの。文化庁記念物課は、「今後、多少の変動はありうる」としています。


重要遺跡の追加要請を

 戦争遺跡保存全国ネットワークの十菱駿武代表の話 詳細調査対象となった遺跡には、群馬県高崎市の岩鼻火薬製造所など、自治体から未報告の物件もふくまれている。また、関連の遺跡を群としてとらえており、これらは評価できる。しかし、川崎市の旧海軍東京通信隊蟹ケ谷分遣隊地下壕、松本市里山辺地下壕など、重要遺跡で外れているものもある。詳細調査がすすむ中で追加するよう文化庁に要請していきたい。

 


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