日本共産党

2002年8月8日(木)「しんぶん赤旗」

日本ハム

子会社で伝票改ざん

牛肉偽装 農水省が刑事告発へ


 日本ハムがBSE(牛海綿状脳症)対策事業の対象ではない輸入牛肉を買い取らせた問題で、農水省は七日、同社を刑事告発する方向で準備に入りました。

 農水省へ届いた内部告発などによると、同社の子会社日本フード関西カンパニー姫路営業部で在庫伝票が書き換えられていたことが判明しました。同省の事情聴取に対し、告発者は「偽装現場を見た」と証言しています。

 内部告発は今月一日、農水省近畿農政局にファクスで届きました。送信されてきた伝票によると、輸入肉を示す識別コードは「9025」「3957」なのに、国産の牛正肉を示す「2797」に書き換えられていました。

 同省は七月三十一日以降、日本ハムの担当者らを呼び、問題の牛肉を焼却した経緯などをほぼ連日にわたって聴取しました。同社は「社内調査中」であることを理由に、伝票など関係資料の提出に応じませんでした。

 輸入牛肉は、同社の子会社「日本フード」(本社東京、当時)から日本ハムが買い取り、日本ハム・ソーセージ工業協同組合を通じて買い上げ申請していました。問題の輸入牛肉は五百二十キロに上っており、これだけの量を誤って申請するとは考えにくく、同社本体が関与した可能性も指摘されています。補助金目的の悪質な偽装だった疑いがますます濃くなってきました。こうした問題を生む土壌となった農水省の対応もあらためて問われる事態になっています。


解説

買上げ全牛肉の検証を

 昨年十月に始まったBSE(牛海綿状脳症)対策の国産牛肉買い上げ事業での牛肉偽装は、ついに食肉加工のトップメーカーである日本ハムにまで及びました。不正が後を絶たない背景には、買い上げ事業のチェック体制のずさんさと不透明さがあります。

 農水省の検査は当初、一部の倉庫を対象に百箱から一箱を抜き取る方式でした。一月に雪印食品の偽装が発覚してから、出荷単位(ロット)ごとに抜き取り検査をする方式に変更。さらに不正が相次ぐなか、やっと四月になって、すべての箱を調べる「全箱検査」方式に改めました。しかし、その間にも、業界には検査を待たずに焼却する、証拠隠しともとれる動きがありました。牛肉の買い取り申請をした企業名でさえ、全体像を明らかにしていません。

 今回明らかになった日本ハムのような問題はまさに氷山の一角です。

 こうした業界への甘さが日本ハムなどの不正の温床となったのです。農水省は、全箱検査を実施する前に早々と焼却された牛肉もふくめ、買い上げたすべての牛肉について、不正がなかったかどうかを改めて徹底的に検証する責任があります。(森近茂樹記者)

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp