2002年8月1日(木)「しんぶん赤旗」
衆院議員鈴木宗男被告=あっせん収賄罪で起訴=が北海道開発庁長官在任中、有力後援企業の「島田建設」(北海道網走市)から六百万円のわいろを受け取った疑惑で、贈賄工作は北海道開発局からの工事受注激減に危機感を持った島田建設社長(56)が計画、わいろ提供後、受注額が急増したことが関係者の話でわかりました。特捜部は受託収賄容疑で鈴木被告を一日にも再逮捕する方針を固めています。
鈴木被告の逮捕は、林野庁の行政処分をめぐる汚職事件に次いで二度目となります。
開発局の内部資料によると、島田建設は同局発注工事を一九九四年度は約二十八億円(十四件)、九五年度は三十三億円(九件)を受注していました。しかし、翌九六年度には二十四億円(八件)に激減。九七年度は二十六億円(七件)と横ばい状態でした。
関係者によると、島田建設は公共事業への依存率が高いため、九七年には大幅な減益に。このため危機感をもった島田建設の社長が、鈴木被告が北海道開発庁長官だった九七年九月から九八年七月にかけて複数の港湾工事を受注できるよう依頼。その見返りに現金六百万円を渡しました。
現金は衆院議員会館の事務所で、政策秘書の多田淳容疑者(50)が受け取り、政治資金収支報告書に記載せず、裏金として処理していました。
鈴木被告は社長から具体的な工事名をあげた依頼を受けた直後に開発局幹部に電話するなどして、島田建設に便宜をはかるよう働きかけました。この結果、九八年度の島田建設への発注額は約三十八億円(十五件)と、前年度に比べ金額で十二億五千万円、48・4%増に。受注件数も八件増えました。
開発局は鈴木被告の働きかけを受け、地元の建設業界に「天の声」を出し、島田建設が受注できるよう調整していました。社長は、東京地検特捜部の事情聴取に対し、贈賄が受注回復をねらったものだったことを認めているもようです。
島田建設の関係者の一人は社長と鈴木被告との関係について「二人は兄弟のような関係。会社の仕事もムネオに頼りさえすれば営業をしなくてもいいぐらいだった。クラブで飲んだ時には社長が『おれは鈴木に小遣いをやっている』とよく自慢していた」と話しています。