日本共産党

2002年7月28日(日)「しんぶん赤旗」

職場の健康悪化をどうみる?


 〈問い〉 リストラで職場の健康悪化が深刻になっている問題を、どう考えたらよいですか。 (茨城・一読者)

 〈答え〉 いま大企業の無責任なリストラは、労働者に過労死や心身の健康破壊を強いる事態に至っています。昨年度の労災認定過労死は過去最高の百四十三件、過労自殺や精神疾患の労災認定も七十件に倍増となりましたが、これらは氷山の一角です。

 厚生労働省の定期健康診断調査は、異常のある「有所見者」が九〇年の23・6%から急増し二〇〇〇年に44・5%に達したことを示しています。最近は多くの職域で精神疾患が休職者の第一位となり、精神的な健康悪化も顕著です。

 昨年度の全国の自殺者は三万一千四十二人となり、四年連続で三万人を超えました。社会経済生産性本部のメンタル・ヘルス研究所は、職場の5・5%、二十人に一人が自殺したいと思ったことのある“自殺予備軍”と推計しています。

 問われているのは、労働者の命と心身の健康に対する企業の責任です。労働基準法など、いまのルールを守ることは最低限のことです。サービス残業は、労基法でも懲役、罰金の対象となる重大犯罪です。また労働安全衛生法は職場の健康と安全への企業責任を定めており、最高裁も最近の過労自殺裁判で、長時間労働は同法六五条の健康配慮義務違反としています。

 厚生労働省の最近の通達の周知徹底も重要です。昨年四月のサービス残業根絶通達は、企業の労働時間管理責任を明らかにしています。十二月の労災認定基準改定は、長期疲労蓄積への企業責任を示しています。今年二月の「過重労働による健康障害防止のための総合対策」は、健康診断や、労使協定で延長した時間外労働でも一定時間内にとどめるなど、過労予防への企業責任を詳細に定めています。

 長時間労働是正や職場の労働安全衛生のために、法的な残業上限規制やILO諸条約の批准なども不可欠です。

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 〔2002・7・28(日)〕

 


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