日本共産党

2002年7月25日(木)「しんぶん赤旗」

パート処遇 厚労省最終報告の中身は?


 〈問い〉 パート労働者の処遇について、厚労省研究会の報告が出たそうですが、どんな中身なのですか。(福岡・一読者)

 〈答え〉 「働き方に応じた公正な処遇」を主題とする厚労省・パートタイム労働研究会の最終報告が、この七月、発表されました。「パートタイム労働の課題と対応の方向性」と題するこの文書は、政府のパート労働政策の指針的文書といえます。パート労働者らの地位向上の要求に応えることをよそおった「中間的雇用形態」の名で不安定雇用の拡大をすすめるものとなっています。

 いまパート労働者と正社員との賃金などの格差が深刻です。この問題で最終報告が示しているのは、フルタイム正社員とパート労働者の間に「中間的な雇用形態」をつくり、雇用保障や処遇などを同じ枠組みにするというものです。

 そしてこの雇用システムが有効に機能するには、仕事と処遇の「公平性の確保」に適した、能力・成果重視の方向が望ましいとしています。

 これらは正社員の中にも不安定な雇用形態を持ち込むことを意味します。正社員とパート労働者の双方で選別をすすめ、成果主義の競争をあおります。その一方で、「補助的」なパート労働者らの低賃金と差別の仕組みは温存するものです。

 また報告は、欧州などで当然とされている、パートとフルタイムの同一労働同一賃金を否定し、「日本型均衡処遇ルール」の確立が必要としています。それは、日本では外形的に同じ仕事でも処遇が大きく異なる事情があるからとしていますが、配転、出向、長時間過密労働など、欧州にない過酷な労働実態を温存することを前提としたものです。

 同一労働に均等待遇が保障されなければ「公正な処遇」も成立しません。パートとフルタイムの均等待遇を定めたILO一七五号条約など国際的な基準にも背くものです。

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 〔2002・7・25(木)〕

 


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