日本共産党

2002年7月18日(木)「しんぶん赤旗」

住民基本台帳 問題になっていることは?


 〈問い〉 住民基本台帳ネットワークの実施の是非が論議されていますが、問題になっていることはなんですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 すべての国民に十一桁のコード番号を付け、氏名、住所、性別、生年月日の四つの個人識別情報とその変更情報を、総務大臣指定の「指定情報処理機関」が一元管理する住民基本台帳ネットワークシステムが、個人情報保護が未整備なために、八月実施の中止・凍結を求められています。

 このシステムは住民票の広域発行や国・自治体への申請手続き簡素化に役立つなどとされますが、「指定情報処理機関」の情報が国に提供されるため、全国民の個人情報が国に管理されます。国家による個人の全人格的管理につながるとの、ドイツの違憲判決もある制度です。

 また▽個々の自治体で管理していた情報が全国的オンライン化で広範囲からアクセス可能となり、情報流出・漏えいの危険もいっそう高まる▽現在、日本には、すべての国民に番号をつけて管理する総背番号制導入への、国民の合意もない▽自己の個人情報をコントロールする権利も未確立。自分の個人情報の開示請求権や違法な情報利用の中止請求権、不服申し立て手続きなどが未整備では、行政の一方的な情報利用になすすべもない―なども大きな問題です。

 そのためシステムを導入する住民基本台帳法「改正」案の審議では、当時の小渕首相が、実施には「個人情報保護の法整備が前提」と答え、同法に「個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずる」との条項を加えました。

 ところが、今国会で政府が提出した個人情報保護法案は、かんじんの行政が個人情報を目的外に使うことに罰則がないなど極めて不十分で、逆に報道機関などを規制対象にし言論・表現の自由を侵すなど、個人情報の保護法の名に値しません。本当に個人のプライバシーを守る実効ある個人情報保護法制がない段階では、住基ネットは凍結するほかありません。

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 〔2002・7・18(木)〕

 


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