日本共産党

2002年7月4日(木)「しんぶん赤旗」

福祉事業を次つぎ切り捨て

石原都政に批判広がる


 東京都福祉局の「福祉サービス提供主体経営改革に関する提言委員会」が二日にまとめた「中間提言」は、「民間社会福祉施設サービス推進費補助」(別項参照)のうち民間福祉施設の常勤職員の人件費補助の廃止を打ち出しました。都民の命と暮らしを守る福祉の制度や施設をつぎつぎ切り捨てる石原都政に、都民から大きな批判の声があがっています。

 一九五〇年に始まった都加算事業(運営費補助)と革新都政時代の七一年に創設された公私格差是正事業は、それまで劣悪な条件にあった民間福祉施設の利用者サービスの水準を引き上げ、人材の確保や定着に貢献し東京の福祉を支える重要な役割を果たしてきました。

 ところが都は、両事業を廃止し九九年四月から新制度への移行を打ち出しました。福祉関係者あげての大きな反発と都政をゆるがす都民運動が広がり、見直しは延期され、二〇〇〇年一月から「サービス推進費補助」が実施されました。それが今年から本格実施されたばかりだというのに、「自律的な運営と自主的なサービス向上努力を促すものとなっていない」として廃止を含めた全面的な見直しを打ち出したのです。

 長引く不況や医療改悪など都民のくらしが深刻化する中、石原都政は、福祉手当や医療費助成など福祉十事業の切り捨てをすすめてきました。

 そして今度は、東京の福祉を支えてきた民間福祉施設への補助の大幅な切り下げと都立福祉施設からの撤退とを、「車の両輪」(前川燿男福祉局長)で進めるとしています。都民の願いに大きく逆行するこれらの動きは許されません。(東京・長沢宏幸記者)


 民間社会福祉施設サービス推進費補助 常勤職員の人件費部分(B経費)と国基準を上回る職員配置や利用者サービスにかかわる部分(A経費)への補助の二つに分かれ、今年度は百四十億円ずつ予算が計上されています。人件費補助は、都内の老人福祉施設、児童養護施設、保育所など七百七十六施設(二〇〇〇年度)が受けています。提言は、A経費についても、全面的な見直しを求めています。


福祉切り捨ての経過

 1950年 国の基準に対し都として独自にサービスを引き上げるために補助をする「社会福祉施設都加算制度」を創設。

 1971年 民間施設の人材確保を支援し、公立施設とのサービス格差を是正するための「民間社会福祉施設職員給与公私格差是正事業」を始める。

 1999年2月 都が都加算制度、公私格差是正事業を廃止し、「民間社会福祉施設サービス推進費補助」に移行、補助額を大幅にカットする案を発表。保育園をはじめ福祉施設関係者の大きな反対運動が起こり、都は4月からの実施を断念。年度途中で制度変更を実施。

 同年7月、8月 都が「財政再建推進プラン」、「福祉施策の新たな展開」を発表。

 シルバーパス、老人・障害者などの医療費助成、老人福祉手当、公私格差是正事業など民間社会福祉施設への補助事業の切り捨てを打ち出す。

 同年12月 都がシルバーパス全面有料化、老人医療費助成など福祉10事業の切り下げ方針を打ち出す。

 2000年3月 福祉10事業など福祉切り下げの予算案、条例案が可決。

 2002年2月 都が都立福祉施設の廃止、民営化推進を基本方針とする「TOKYO 福祉改革 STEP2」を発表。

 同年6月27日 「都立福祉施設改革推進委員会」が、都が直営の福祉施設運営から全面撤退する報告書を発表。

 同年7月2日 「福祉サービス提供主体経営改革に関する提言委員会」が、民間施設の人材確保を支援し公立施設とのサービス格差を是正するための人件費補助(旧公私格差是正事業)の廃止など、「民間社会福祉施設サービス推進費補助」制度を改悪する提言を発表。

 


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