日本共産党

2002年7月1日(月)「しんぶん赤旗」

献金17年間に3000万円

「やまりん」から鈴木容疑者へ

法逃れの分散処理 盗伐発覚の97年に急増


 鈴木宗男容疑者は北海道帯広市の林業会社「やまりん」から現金五百万円を受領、あっせん収賄容疑で逮捕されましたが、やまりんから同容疑者への献金は過去十七年間に三千万円を超し、法のがれの分散献金や、盗伐発覚後の献金急増が目立っていることが本紙の調べでわかりました。

集計すれば

 政治資金収支報告書ややまりん側資料などによると、やまりんからは、一九八四―二〇〇〇年の十七年間で三千二百二十万円が鈴木容疑者に流れていました。このうち、九八年分については、東京地検特捜部の調べによると五百万円。他方、収支報告書には三百万円しかなく、やまりんや鈴木容疑者側は四百万円と主張しています。

 献金は、こまかく“分散処理”されていました。あっせん収賄罪に問われた九八年のわいろ五百万円は、収支報告書上は七社からとされました。しかし、これは、やまりんの山田哲社長分をふくめて、一括して現金で渡されており、わいろと認定されたのです。

 分散して届け出た献金も、集計してわいろとなる――。これが、検察の認定で、鈴木容疑者と同じ手法をとる自民党議員たちを直撃しています。

 献金の“分散処理”はいっかんして行われていました。たとえば八六年は、八つの会社・個人名義で計百九十二万円。やまりんだけだと十二万円でした。

両者の関係

 やまりんグループから鈴木議員への献金では、その推移から、両者の関係が見えてきます。

 まず目を引くのが九一年の減少。これは、道議選で山田勇雄会長の長男が出馬し、ほかの道議を推す鈴木議員との関係が冷えたため。その後、鈴木議員が政界で力をつけるにともなってやまりん側が関係修復に動き、最初に大きく献金額がふえたのが九六年でした。

 急激に献金が増えたのは九七年です。

 九七年は、十三の会社・個人名義で計約六百七十万円。やまりんの会長、社長からの献金が、個人献金の限度額いっぱいの百五十万円であるほか、関連会社の岡崎木材、天倉林業が各十二万円、山洋建設二十四万円などに分散され、一つずつは小口に見えます。しかし、その裏には事件がありました。

 やまりんは、釧路管内の国有林での盗伐が発覚して処分を受ける九八年ごろまで、白糠町、阿寒町、新得町などで約七千本を盗伐しました。九七年はまさに盗伐の真っ最中。さらに、この年には、上士幌町でもやまりんが無断伐採をしていたことが発覚。この事件で営林局は、やまりんを「厳重注意」だけで済ませ、処分を行いませんでした。こうした背景が、献金急増に結びついたとみられ、この面からも政治献金のわいろ性が端的にあらわれています。

 鈴木宗男議員へのやまりん側の献金
(単位万円。政治資金収支報告書や、やまりん提出資料などから作成)

 年 やまりん現 会 長現 社 長関連企業・
同役員など
総   額
 84 72 0 12 86   170
 85 24 0 12 96   132
 86 24 60 12 96   192
 87 24 60 12 96   192
 88 24 60 12 96   192
 89 24 60 12 84   180
 90 24 60 12 84   180
 91 12 0 0 24   36
 92 12 0 0 24   36
 93 12 0 0 24   36
 94 12 0 0 18   30
 95 0 0 0 12   12
 96 112 0 0 134   246

 97 48 150 150 308   656
*98 2 0 0 298 300(500)
 99 0 0 0 200   200
 00 0 0 0 230   230

 (96年と00年は鈴木議員が支部長の自民党北海道第13支部への献金含む。
*印は収支報告書には300万円だが、鈴木容疑者は400万円、検察側は500万円としている)


鈴木容疑者の拘置を延長

東京地裁

 林野庁の行政処分をめぐるあっせん収賄事件で、東京地裁は三十日、逮捕された衆院議員鈴木宗男容疑者(54)について、七月一日から十日まで十日間の拘置延長を決定しました。

 


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