日本共産党

2002年6月27日(木)「しんぶん赤旗」

横浜市議会の議員除名での日本共産党市議団の声明


 横浜市議会が多数で「市民の党」所属の二議員の「除名」処分を強行した問題で、日本共産党市議団が二十五日発表した声明を紹介します。(一部地域重複)


 、本日の本会議において、「市民の党」の井上さくら、与那原寛子両議員に対する「本会議(六月五日)での議長席等占拠事件」についての懲罰行為に対して、「除名」とする処分が確定・執行したことは重大である。自民、民主、公明、みらいの多数で、成立要件の四分の三を辛うじて上回る賛成で強行したことは、横浜市議会に新たな汚点を残したものである。/p>

 、今回、両議員が問われたのは、第一に、議長席占拠という実力行使で会議を空転させ、議場を混乱させたことは、議会の秩序と品位を著しく汚すものであること。

 第二は、両議員の弁明は、「議長、事務局長に話をしたいので議長、事務局長席に座った」との口実で、重要な本会議を日中空転させ、開会を妨害したこと、議長の「自席への着席」「退去」命令にも従わなかったこと等の自らの行為に対して、一片の反省もみられないものであったこと。

 第三は、逆に「五月二十九日本会議で強制的に退場させられた件」について、「議長等からの回答がないままの本会議開会は許されない」と正当化し、居直るものであったこと、などによるものであり、地方自治法と会議規則にのっとり、懲罰の対象として厳正な処罰が求められるものであった。

 、問題は懲罰の内容である。懲罰の種類は、「公開の議場での戒告」「公開の議場での陳謝」「一定期間の出席停止」「除名」の四つに限定されており、議会がどの懲罰を選ぶかは議会の裁量に委ねられているもの。ところが、その裁量権が「必要な限度を超えて行使する場合は、懲罰は違法である」と解釈されている。特に、「除名」処分については、議員の資格をはく奪するもので、他の処分とは違って、特別に慎重な対応が求められるものである。

 他の懲罰は議会の内部規律に委ねられ、その処分を争うことはできないが、「除名」は、単なる内部規律を超える処分であることから、裁判に訴えることができるとされている。そのため、議員の三分の二以上の出席で、その四分の三以上のものの同意がなければならないとの、「特別多数議決」の定めをしているもの。決して、政治的な思惑などで「除名」処分を乱用することは、あってはならないものである。自民、民主、公明、みらいの多数で、もっとも重い「除名」にして議員の資格をはく奪したことは、「必要な限度を超えて行使する場合は、懲罰は違法」との解釈に抵触するものであり、断じて認めるわけには行かない。

 、わが党は、両議員のとった行為は、当然、懲罰に該当する行為としつつも、懲罰の内容については「公開の議場での陳謝」が妥当との立場を表明してきた。

 それは、今回の事件の背景に、(1)議会運営委で「議場への日の丸掲揚」「少数会派の発言時間の削減」問題で、自民、民主、公明などが数を力に強行可決したこと、(2)さらに、その運営委の場に正式に参加できない会派にも、制度として「委員外発言」が許されているにもかかわらずに、拒みつづけたこと、等があったことも否定できない事実である。

 それらのことを考慮すれば、議員の権利を制限する「出席停止」や、議席をはく奪する「除名」は対象外であり、「公開の議場での陳謝」がもっとも適切な処分であると確信するものである。

 しかし、多数会派の力づくで「除名」処分としたことは、今後の市会運営にも新たな問題を投げかけるものである。


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp