日本共産党

2002年6月16日(日)「しんぶん赤旗」

水際検査廃止、厳しい体制とらず

政府の責任は重大

中国冷凍ホウレンソウ相次ぐ回収


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大手スーパーの冷凍野菜売り場では、主婦らが販売自粛の「おしらせ」に注目=15日、横浜市内

 食品衛生法の基準を超える残留農薬検出が相次ぐ中国産冷凍ホウレンソウ。六月に入って冷凍加工品の回収が相次ぐ背景には、輸入食品の水際検査を九五年に廃止し、冷凍食品の検査制度や体制を素通りとも言える状態にしてきた政府の「構造改革」・規制緩和路線の大失政があります。

 下ゆでをした冷凍ホウレンソウは、過去五年間で輸入が六割以上も伸び、その大半が中国産。丸紅、味の素冷凍食品、ニチレイ、イトーヨーカドー、雪印冷凍食品、蝶理、加ト吉といった大手商社、スーパーなどが、二月以降輸入した冷凍ホウレンソウの回収に踏み切る事態をむかえました。

 厚生労働省はことし一月、ホウレンソウなどの中国産生鮮野菜にたいしては、残留農薬のモニタリング検査を、通常の10%程度の抜き取り方式から、検査結果がでるまで流通を止める「命令検査」にしました。しかし、冷凍野菜は加工食品とみなし、生鮮野菜のような残留農薬の検査体制はとりませんでした。

 三月になって、農民連食品分析センターが独自の検査で明らかにした輸入冷凍野菜(ホウレンソウ、枝豆)の残留農薬汚染を指摘され、やっとホウレンソウなど十八品目の冷凍輸入野菜を、生鮮野菜と同じ基準で検査することを決め、検疫所に通知。ところが、同省監視安全課によると、「自主検査」を業者へ指示し、冷凍ホウレンソウなどを検査結果がでるまで通関で止めるよう指示したのは五月十四日。自治体に検査を通知したのは五月中旬になってからでした。

 この結果、生鮮野菜としては輸入できない汚染ホウレンソウが、半年近くもノーチェックで消費者の口に入ったわけです。

 冷凍野菜の輸入量は二〇〇一年に八十万トンを超え、一九九一年(約四十万トン)の二倍に。中国からの輸入冷凍野菜は三十五万トンにのぼるといいます。とくにホウレンソウなどは、日本の食品メーカーによる生産委託で栽培しているケースが多く、ニチレイはじめ大手メーカーが、ようやく現地での検査体制の構築を決めるなど、管理の強化はこれから。

 消費者団体などの強い反対を押し切って強行した食品衛生法改定(九五年)で輸入食品の水際検査を廃止し、食の安全をメーカーまかせにしてきた国の無責任ぶりが、あらためて問われています。


ニチレイ

冷凍食品2種回収

 丸紅が輸入した中国産冷凍ホウレンソウから食品衛生法の基準の二十一倍の残留農薬が検出された問題で、このホウレンソウを使っていたニチレイは十五日、「お詫びとお知らせ」を同社のホームページに掲載し、家庭用冷凍食品の回収を明らかにしました。当面、中国産冷凍ホウレンソウとその調理食品(合わせて三十八品目)の販売を自粛します。

 回収されるのは「ほうれん草とチーズのベーコン巻エッグ」(賞味期限二〇〇三年四月三日から六月四日)と「ベーコン巻エッグ」(同四月十六日から五月二十一日)の二食品。

 


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