2002年5月31日(金)「しんぶん赤旗」
米軍横田基地(東京都福生市など)周辺九市一町の住民六千人が「静かな夜を返せ」と、夜間・早朝の米軍機の飛行差し止めと損害賠償を求めた新横田基地公害訴訟で、東京地裁八王子支部(関野杜滋子裁判長)は三十日、騒音が「がまんの限界を超えている」として、原告四千七百人に対し過去の騒音被害の損害賠償総額二十四億円を支払うよう、日本政府に命じる判決を言い渡しました。将来分の賠償と米軍機の飛行差し止めは却下しました。
同時に出された二次、三次訴訟の対米部分でも、同基地の離着陸は「米軍の行為は日本の民事裁判権は及ばない」として却下し、爆音に苦しむ住民を救済する道を閉ざしました。
判決では、米軍機の騒音による睡眠妨害や心理的情緒的被害、日常生活の妨害などが「受忍限度を超える被害を受けている」と認定。国が「被害を防止するに足る措置を講じたとはいえない」として九四年の旧横田基地訴訟三次東京高裁判決や、今年三月の小松基地騒音訴訟判決でも認めた「WECPNL値(うるささ指数)七五以上」の地域で、原告のうち四千七百六十三人に賠償金を支払うよう求めました。一方、将来の賠償は「請求権が将来の不確実な事情にかかっている」として却下しました。
訴訟団と弁護団は同日、八王子市内で会見し、「騒音を違法と認め、かつてない大規模訴訟で巨額の賠償を命じたのは評価するが、夜間早朝の飛行差し止めや将来にわたる賠償を認めなかったのは、とうてい認められない。控訴し、静かな夜を取り戻すため運動を進める」とする声明を発表しました。