2002年5月21日(火)「しんぶん赤旗」
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弁護士が全然いなかったり、一人しかいない地域(ゼロワン地域)に日本弁護士連合会が開設を進めてきた公設法律事務所が八月で、二ケタの十カ所に到達することになりました。
新たに開設される地域は三重県熊野市(六月)と宮崎県日南市(八月)。三重県では津地裁熊野支部が管轄する一市五町一村(人口約九万二千人)に弁護士は一人しかいません。
弁護士の多くが大都市とその周辺に集中している半面、「ゼロワン地域」が全国に六十カ所余あることから、国民だれもが等しく法律のサービスを受けられるよう、弁護士がお金を出し合って基金(ひまわり基金)を創設。各地に“ひまわり基金法律事務所”として展開してきたものです。
第一号は二〇〇〇年六月開設の石見事務所(島根県)で、順次、沖縄(石垣市)から北海道(網走市)まで開設が進んできました。
昨年四月、若い女性弁護士の松本三加さんを派遣した紋別事務所では、法律相談、民事・刑事事件の受任など開設から一カ月余で、九十件近くを取り扱いました。
ひまわり事務所は、どこも多忙で、市民から弁護士が待ち望まれています。石見事務所所長の國弘正樹弁護士(55)は、京都から派遣された弁護士歴二十年のベテランです。石見での二年間で約百三十件を引き受けましたが、ほぼ半数が不況を反映して破産・整理事件。
「法律をよく知らなかったために損をしている人が多く、本来払わなくてもいい他人の負債を延々と払わされていたケースもある。相談しようにも弁護士がいなかった。そんな地方で問題が解決し、『おかげで助かりました』とお礼を言われると、来たかいがあったと思う」と、國弘さんは話します。
日弁連は公設事務所を引き続き増やす方針で、十八日には、司法修習生にも呼びかけてシンポジウムを開催。今後、各地に予定している事務所での活動を“弁護士の卵”たちに働きかけました。