日本共産党

2002年5月17日(金)「しんぶん赤旗」

「脱北者」か不審者かどのように確認するのか

小泉議員の追及

参院外交防衛委


 十六日の参院外交防衛委員会で行われた、中国・瀋陽総領事館事件についての小泉親司議員と政府との質疑のポイントを紹介します。

 ――「脱北者」は許可なく大使館・領事館内に入れないのか。

 外相 脱北者だから許可なく館内に入れるということではない。

 ――許可なく入るということは可能か。

 外相 いったん館内に入ったら保護するということで、大使館としては、不審者が大使館の敷地に入ろうとしたら門外で事情聴取する。

 ――「脱北者」かどうか門外で確認するのか。ピンポンと鳴らして「私は脱北者ですが入れてください」と言えというのか。どのように確認するのか。

 外相 脱北者とみられる人間に対する対応は、個々の事案で異なってくる。そのような者が公館の外側にいる場合、警備上の観点からの対応が当然に必要だ。在外公館では、入館しようとする者については、警備上のチェックを行っている。身元が確認されていない不審者を安易に入館をさせるということは行っていない。場合によっては、館員が大使館の門外に出て、関係者から事情聴取するということが必要であるということも考えられるが、具体的な対処ぶりは個々の事例に応じて対応する。

 ――今回のような事件については、門外でまず事情聴取して、門外で北朝鮮から脱出してきた人か、不審者か区別するのか。

 外相 そういうことだ。

 ――現場ではこの作業は誰が執行するのか。

 小野正昭領事移住部長 瀋陽の総領事館について説明すると、三重のチェックになっている。日本人あるいは中国人が館内に入る場合には、あらかじめ整理券をとるとして、まず中国側の官憲の窓口に来て、パスポートあるいは氏名等チェックして、それから、中国側の門衛のところに来てさらに人定事項の確認をして、それで初めて日本側の警備のところに行って、三番目のチェックをして氏名等を書き込んで、その時点で(館内に)入っていくということになる。

 ――「脱北者」か「不審者」かということを確認するのは、中国側に任せていたということか。

 小野部長 人定事項のはっきりしない方が門外に現れたときには、まず中国側の官憲の目にとまるのではないかと思われる。その際に、例えば中国側が不審者として誰何(すいか)したときに、「どうも北朝鮮の人らしい」ということになったときには、基本的には、恐らくその警察は、我が方大使館あるいは総領事館にその旨を通報し、取り扱いについて照会することが期待される。

 ――五人のうちの一人が所持していた(亡命希望が書かれていたとされる)手紙を副領事が本人につき返したというのは、外務省「規則」違反ではないか。

 小野部長 副領事が中身をゆっくり読んで、確認できるような状況ではなかったのではないかというふうに考える。

 ――門外で確認するとなっているのだから、手紙の確認はやるべきではなかったか。手紙を返したというのは規則通りなのか。

 外相 規則に書いてあるかどうかは知らないが、五人が北朝鮮の人であるということはほぼ見当がついていた状況であったのだから、本来であれば、総領事館に入館をしようとした人たちだから、事情をきちんと聞くべきだった。手紙というものについては、その場で受け取っておいたほうが適切であった。

 ――外相は国会への報告書にこの部分が欠落していても問題なかったと考えるのか。不適切ではなかったか。

 外相 今から考えれば載っていたほうがよかったかなと思う。

 


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