2002年5月1日(水)「しんぶん赤旗」
【北京30日小寺松雄】二十九日から北京で開かれていた日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の赤十字会談は、三十日午前に続開し、終了しました。両国は、(1)北朝鮮が「日本人行方不明者」調査を「しっかりと行い」「結果を日本側に迅速に通報」する(2)北朝鮮にいる日本人配偶者の第四回里帰りを今年夏ごろ実現する(3)次回赤十字会談を六月ごろ開催する―などで合意し、共同発表文にまとめました。
北朝鮮が求めていた戦前の朝鮮人行方不明者(今回五十五人増えて三百十四人)については、日本側が引き続く調査を約束。会談では北朝鮮在住の朝鮮人被爆者の援護問題も取り上げられましたが、援護の方法などの詰めが必要なため文書化はされませんでした。
会談後、日本側団長の東浦洋赤十字国際部長が行った説明によると、行方不明者問題で日本側は、いわゆる拉致疑惑の八件十一人を含む四十九人の名簿を提示し、特に、最近新たな証言が出た元神戸外大生、有本恵子さん(一九八三年行方不明、当時二十三歳)については事情を知ると思われる人物の名もあげて情報を求めました。
これに対して北朝鮮側は、「事実関係を初めて知った。誠実に調査する」とし、「赤十字会支部、人民保安省、人民委員会登録担当所などを通じて調査する」と約束。
日本側はさらに「安否調査はポスター、テレビ、ラジオも使ってほしい」と要望し、北朝鮮側は「調査を深めるための方途を模索」中であるとして、検討を約束しました。
東浦団長は会談後の会見で「所期の目的は達成できた」と会談を評価。北朝鮮側団長のリ・ホム朝鮮赤十字会副書記長も「(会談は)真摯(しんし)で協力的な雰囲気で進められ、進展があった」と語りました。