日本共産党

2002年4月30日(火)「しんぶん赤旗」

汚職構造たち切る県民パワーの勝利

徳島県知事選

小泉自民政治に痛打


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支援の人とともに当選の喜びを分かちあう大田氏=28日夜、徳島市内

 徳島県知事選挙で二十八日、幅広い県民と日本共産党など政党が共同して推す大田正氏が自民党丸がかえの河内順子候補を破って当選。「汚職を一掃してほしいという一票、一票の結果です」。勝利を決めた同日夜、大田氏は開口一番こういいました。(中四国総局 酒井慎太郎記者、徳島県 米沢正博記者)

 昨年九月の知事選で円藤寿穂前知事に三万二千票差と迫った大田氏。今回は「徳島を愛そう!勝手連県民ネットワーク」とともに日本共産党、民主党、社民党、新社会党が推薦。得票を前回より一万五千票伸ばして十六万六百五十六票を獲得しました。

 地元の徳島新聞(二十九日付)は「県西部の三好、美馬郡は、自民党国会議員二人の出身地であり、保守の金城湯池。両郡で大田氏が約七千票伸ばしたことからも、汚職事件など一連の問題に対する有権者の怒りが強かったことがうかがえる」と書きました。

 県発注の公共工事をめぐる収賄事件で前知事が逮捕・起訴され、辞職したことに伴う選挙戦。「清潔な県政をとりもどしたい」という県民の強い願いがありました。大田氏は「県政の汚職構造を断つ」と強調。あっせん利得防止条例の制定、入札制度のチェックシステム確立などの政策を掲げ支持を広げました。県民は小泉内閣の「政治とカネ」の問題に厳しい審判を突き付けました。

 二十九日、徳島駅前で清掃する男性(70)は「徳島は変わってくると思う。きれいな明るい町にしてほしい」。バスを待つ女性(44)は「誠実な方で期待している。可動堰(かどうぜき)問題に熱心に取り組んでいた前向きな姿勢が、県政に反映してくれたら」といいます。

本物を見極め

 円藤前知事のもと、県民一人当たりの土木費が全国四位―“公共事業の百貨店”と呼ばれた徳島県ですが「無駄な公共事業ノー」という県民の世論は太く流れています。

 二〇〇〇年一月の吉野川可動堰建設の是非をめぐる徳島市の住民投票では「可動堰ノー」の明確な意思を示しました。粘り強い反対運動で木頭村の細川内ダム建設を中止に追い込みました。

 住民投票で中心的役割を果たした吉野川シンポジウム実行委員会代表世話人の姫野雅義さんは「有権者がはっきりと物事を見極めたなという感じがします。吉野川の問題に何年も取り組んでくるなかで、本物の政治という物を見極めるという、政治的な成熟が今回の選挙結果にしめされたのではないでしょうか」と指摘します。

 細川内ダム建設完全中止の先頭に立ってきた藤田恵前木頭村長は「今まで、徳島はとくに不必要な大型公共事業をやりすぎている。細川内ダムも可動堰も住民が止めたのだから、住民が本当に必要なことに税金を使うというふうに県政を大きく変えていかなければいけない」と大田知事を支える重要性を語ります。


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クラッカーを鳴らして祝福する支援の人たち=28日夜、徳島市内

可動堰中止への大きな一歩

 大田氏は当選後、徳島空港拡張事業、マリンピア沖洲二期事業の凍結を言明。吉野川可動堰計画について「完全中止を国に求める」ときっぱり断言しました。

 今回の知事選で多くの県民が参加した「勝手連」は、住民投票を成功させた人たちが母体となり、故三木武夫首相の夫人、睦子さんなど党派を超えた広範な県民が結集してできた団体。ミュージシャンの喜納昌吉さん、俳優の近藤正臣さんが熱いメッセージを寄せ、長野県の田中康夫知事も応援に駆けつけました。

 「勝手連」の桑折千恵子さん(51)は、可動堰反対運動からの歩みを振り返り「やっとですね。長かった。(可動堰計画が)止まってよかった。徳島の自然が守れるし、徳島発の民主主義が発信できます」と喜びます。

 「初めて選挙活動をしました」という喜多貴之さん(22)。告示前から泊まり込み、最終日には、池田町から徳島市内までを吉野川にそって五時間半かけてプラカードを張った自転車で走ってきました。今後は「大田さんを応援するだけでなく、一人一人が頑張っていきたい」といいます。

反共打ち破る

 日本共産党が推薦する知事の誕生は徳島県では初めて。現在、日本共産党が与党の県政は全国で徳島県だけです。

 幅広い県民と日本共産党をはじめとする政党の共同にたいし、自民党は「ストップ共産県政」(法定一号ビラ)などと反共攻撃に出ましたが、県政刷新を願う県民の協力を崩すことはできませんでした。日本共産党は「清潔な党が金権なくす元県議をおすのは当然のこと」と正面から反撃し、「県民が主人公の明るい清潔な県政をつくる会」とともに、宣伝、対話・支持拡大に全力をあげました。

 「明るい会」代表委員で徳島労連の見田治議長はいいます。

 「徳島のような保守の地盤の風土の県で、可動堰問題を契機に、大きな住民運動が巻き起こり、その市民の運動と共産党や民主党や政党、労働組合が手をつないで長年の自民党県政を変えることができた。『ストップ共産県政』というような攻撃を、たじろがずに、はね返し、広げていったのも選挙の大きな特徴です。県民が主人公の政治を実現しようと頑張った人たちが勝利し、小泉内閣に対する一つの大きな審判でもあったと思います」

 


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