日本共産党

2002年4月26日(金)「しんぶん赤旗」

シリーズ有事法制

戦争する国、拒否します

労組と会社が“平和の協定書” 福岡

予備自衛官の訓練招集応じない

交通・運輸業界


 「生活と生命、事業に及ぼす危険な策動に反対」。交通・運輸の組合と企業との間で、こんな項目をおりこんだ集団交渉協定が結ばれています。全日本建設交運一般労働組合(建交労)福岡県本部運輸協議会が、今春闘のなかで、賃金の最低水準確保などと合わせて要求。“平和の協定書”として注目されています。

民間業者が弾薬を輸送

 これまで四社と協定をかわしました。平和と民主主義を守るために次のような項目を盛り込んでいます。

 (1)有事立法反対、PKO協力法廃止・自衛隊の海外派兵反対、安保破棄などについて確認する。

 (2)即応予備自衛官および予備自衛官の訓練招集への協力要請などに応じないことを確認する。

 戦争国家法(有事法制)ができて、アメリカの戦争に日本が参加するような事態になれば、真っ先に動員されるのがトラック運転手などの運輸関係者です。

 トラック運転手の中には、自衛隊を除隊した元自衛官が少なくありません。予備自衛官、即応自衛官は、防衛庁からの、一定期間「必要とされる練度を維持する」訓練、防衛招集に応じなければなりません。第一線に配備される即応自衛官の場合は、これに協力した企業にも給付金(年約五十一万円)が入ります。

 交通・運輸業界は、普段から戦争に組みこまれる仕組みがつくられています。

 しかも、九七年の新ガイドライン法(戦争法)、九九年の戦争協力法(周辺事態法)の制定を前後して民間業者による米軍の弾薬や兵器の輸送が始まっています。「最初の日出生台(大分県)の米軍演習では、大分港からは、りゅう弾砲や演習資材、長崎などの弾薬庫からは高速道路を使ってトラック運輸労働者が武器弾薬を運ばされました」(建交労福岡県本部の山崎貢書記長)。

 航空貨物を福岡から関西空港や成田空港などへ運んでいる大型トラックの運転手・藤一政さん(35)=福岡県糟屋郡須恵町=は「有事立法が発動する事態になれば、業務従事命令で弾薬や軍事物資を輸送することになります。戦争や戦争に直結する仕事が責務になるわけです。世界に誇れる憲法を踏みにじるなんて認められますか」と話します。

平和への認識共同広げたい

 こうした事態に、防衛招集や訓練招集に業界が応じないことをはじめ、職場から命と平和を守る運動をすすめようと始めたのが“平和の協定書”のとりくみです。

 山崎書記長は話します。「不況時であり、トラック協会や事業者側にすれば“利益になれば何でも”ということになるのでしょうが、ことは運転手だけでなく、住民の生命にかかわります。交渉や話し合いをつうじて経営者側も平和への認識が高まります。こうした共同をもっと広げたい」

 建交労福岡県本部は、さらに県内の関係する三十八社に同協定の締結を申し入れています。

 


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