2002年4月23日(火)「しんぶん赤旗」
【パリ21日山田俊英】国民戦線(FN)はジャンマリ・ルペン氏(73)が一九七二年に創立した政党。一九七四年、大統領選挙に初立候補した時は0・74%しか得票できませんでしたが、「労働者の党」と売り込み、移民の排斥や欧州統合反対を主張して支持を伸ばし、八八年大統領選で14%、九五年同選挙で15%とそれぞれ四位に浮上しました。
今回選挙でルペン候補は「雇用はフランス人優先」「最低賃金以下の移民労働の防止」など一見、労働者のことを考えるような政策を掲げる一方、犯罪取り締まりの強化を打ち出し、死刑復活といった欧州連合(EU)条約に反する主張もしました。
フランス第一の立場から欧州統合に反対します。通貨統合を決めたマーストリヒト条約と、域内で国境を越えた人の自由な移動を定めたシェンゲン協定の廃棄、EUの執行機関である欧州委員会の解体を要求。経済、通商ではフランスの産業を守るため保護主義をとるべきだといいます。
移民についてはこれ以上の受け入れを禁止し、パスポートを持たなかったり、滞在期限の切れた不法移民については即時追放すべしとしています。
支持者の多くは非管理職の労働者です。国境近くで移民の多い南部アルプマリティム県(ニース市など)やブルーカラー労働者の多い北部カレー地方で今回18―20%を得票し、シラク氏を抑えて第一位に立ちました。
ルペン氏は青年時代、フランスの植民地防衛のためベトナムやアルジェリア戦争に志願して従軍した経歴があり、強い国家主義と反共主義を主張しています。