2002年4月22日(月)「しんぶん赤旗」
「知ったからには黙っちゃいられない。みんなの力で世界を変えたい」。フィリピンへいって児童労働の実情を知った日本の高校生たちが驚きました。世界に二億五千万人という働かされる子どもたち。なかには売春をさせられている子どももいます。世界から児童労働、児童虐待をなくそうというNGO、フリー・ザ・チルドレン・ジャパン(FTCJ)の活動で高校生が見たもの、感じたことは――。 和田 肇記者
明治学院高校(東京・港区)の生徒たちと教師ら十一人は、スタディーツアーでフィリピンに行ってきました。三月二十八日から四月四日まで。九人の生徒はFTCJ明学のメンバーです。児童労働、児童虐待の実態を知るためです。
首都マニラの北西、オロンガポ市に、性的虐待を受けた六歳から十八歳までの少女たちが生活している施設がありました。子どもの救出と保護、心のケア、教育支援などをしています。
山崎雄也さん(17)は「性的虐待」と聞いて不安になりました。「男の自分が施設に行って大丈夫なのか。みんな、嫌悪感を持ってるんじゃないか」。行ってみると、すぐに仲良くなりました。染谷雅子さん(17)も小学生くらいの子と親しくなりました。「抱きついてくるんですよ。子どもたちはみんな底抜けに明るい。一緒にダンスを踊ったりして一日中楽しく遊びました」
翌日、施設のスタッフに少女たちの状況を聞きました。
十六歳の少女は、母親が働いていた洗濯屋のオーナーにレイプされました。人に話したら母親が解雇されると思って、だれにも相談できませんでした。助け出されて施設に入ってから三カ月、まったく口を開きませんでした。施設にはマニラでストリートチルドレンをしていた姉妹もいます。義理の父にレイプされ、家を飛び出した後、路上で生活していました。売春をさせられていた少女もいます。客が払ったお金のうち、5%ほどしか渡されなかったといいます。
「どうしてこんな小さな子を虐待するのか。自分の心は痛まないのか」と山崎さん。染谷さんも「許せない。小さく、あどけない子どもたちにそんなことをするおとながいるなんて」と声をふるわせます。
フィリピンでは数百万人の子どもたちが働いているといわれています。ゴミ山をあさって使えそうなものを売っている子ども、ストリートチルドレンとなって物ごいをする子ども。児童売春組織もあり、日本を含め世界各国から客が訪れるといいます。
事実を後輩たちに伝えたいという染谷さん。「私個人の力は弱すぎて、できることはあまりないかもしれない。だからといって、何もしないのと、何かをするのとでは、ぜんぜん違ってくる。こんなひどい状態は、将来絶対に変わると信じてる。私は、あきらめたくない」
山崎さんも、「信じたくないけど、事実だから正さなきゃいけない。貧困の政治的社会的背景を考えると、自分に何ができるのか無力さを感じることもあります。でも率直に『児童労働をなくしたい』という思いを訴えていきたい。将来をになうのは僕ら子どもたちです。問題を知らずに生きるより、行動に移さなくてもいいから知ってほしい。いいことならすぐ実行する。それが僕の信念です」。
児童労働の実態 国際労働機関(ILO)の試算では世界に二億五千万人の働く子どもたち(五歳から十四歳)がいます。そのうち一億二千万人は学校に行けずに一日中働いています。主な原因として「貧困」「適切な教育の不在」「伝統や古い考え」の三つをあげています。ILOは就労を認める最低年齢を原則十五歳とし(一三八号条約)、過酷な労働の禁止と撤廃(一八二号条約)を求めています。
フリー・ザ・チルドレン(FTC)は児童労働の廃絶、子どもの権利を守るために子どもが主体となって活動している国際協力団体です。本部はカナダにあります。
1995年、50日かけてアジアの児童労働の実態を見てきたカナダの少年クレイグ・キールバーガーさん=当時(12)=がクラスメートに呼びかけてつくりました。メンバーはアメリカやドイツ、イギリス、日本など27カ国およそ10万人。
フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは98年に発足。全国に200人ほどのメンバーがいます。各地にグループ(支部)があります。
フリー・ザ・チルドレン・ジャパンホームページ http://homepage2.nifty.com/FTCJ/
「性的虐待を受けている子どもの友達になってほしい。そして、愛してほしい。それがいちばん大切なもの」――。FTCJ明学ができたのは九九年です。その年、明治学院高校に訪れたフィリピンの少女、ピアさん=当時(15)=の言葉がきっかけでした。ピアさんは八歳から十二歳まで売春をさせられていました。
FTCJ明学はジプニーという小型バスをピアさんのいる施設に贈りました。「フリー・ザ・チルドレン」をつくったクレイグ・キールバーガーさんをカナダから招いての講演会、世界の児童労働の実態の説明会やアフガニスタンの子どもたちにマフラーを送るとりくみ、フィリピンへのスタディーツアーなどをしてきました。
滝本優子さん(17)は、FTCJ明学の説明会で見た児童労働のビデオに衝撃を受けてメンバーになりました。ビデオには、使用済み注射針を素手で仕分けするインドの少女が映し出されていました。
「学校にも行けず、貧しいまま、ずっと同じ仕事をさせられている子どもたちが数多くいます。今の状況から抜け出す機会もないんです。それなら、外にいる私たちが何かしなきゃ」
田中陽子さん(17)は英語が好きで、クラスの友達にクレイグさんのスピーチの翻訳を頼まれたのが、FTCJにかかわるきっかけでした。
子どもが密室でじゅうたんを縫っているビデオを見ました。針でけがをしたり、ほこりで肺が侵されたり。「とにかく助けてあげなきゃ」と田中さん。「FTCJに入る前の自分は何をしていたのか思い出せないくらい、今、充実しています」
下山桃子さん(17)もフィリピンに行きました。環境や立場は関係なく、それぞれの「人」が大事といいます。「言葉は通じないけど、子どもたちと仲良く、楽しく過ごすことができました。いちばんやっちゃいけないのは自尊心を傷つけること。かわいそうとあわれむのではなく、同じ目線に立つことが大事だと思います。日本にもおとなの風俗店があります。それはどうなのっていいたい」
FTCJ明学発足当初から顧問をしている小暮修也先生は、「子どもたちは簡単に国境を超えられます。他人のために自分ができることをすることで、子どもたちの心がきれいになっていくのがわかるんです」と話しています。
世界最大のスポーツ祭典、ワールドカップが日本と韓国で開催される今年、「ワールドカップキャンペーン2002〜世界から児童労働をキックアウト〜」が取り組まれています。呼びかけたのは国際NGOの「グローバルマーチ」です。
現在、国際試合で使われるサッカーボールの約八割がパキスタンで製造され、高級な手縫いボールの製造に子どもがかかわっているといわれています。
日本でも、ACE(エース・児童労働問題を考えるNGO)、フリー・ザ・チルドレン、日韓アジア基金がキャンペーンを呼びかけ、署名、募金、学習会やイベントに取り組んでいます。三月二十四日には東京都内でチャリティーフットサル大会が行われました。
大阪府寝屋川市 前川史郎 (22歳) 学生
五月六日に東京・夢の島を出発して八月四日に広島の平和記念公園に到着する国民平和大行進の大阪代表になりました。
核兵器は人間らしく生きられず、人間らしく死ぬことも許してくれません。ところが日本政府の態度を見ると、国連総会の核兵器廃絶決議に一度も賛成したことがなく、棄権し続けています。被爆者に対する補償(原爆手帳支給、年金、医療福祉など)は冷たいものです。唯一の被爆国の国民の一人としてすごく腹が立ちます。この怒りがぼくに通し行進参加を決意させました。
一緒に十メートル歩くだけでも平和運動ができるんだよということを特に若い人に訴えていきたいと思っています。
koji 高校生
今回の宗男ハウスについて、国民が汗水たらして働いている税金でこのような疑惑があいついで出てくるなんて許されません。
ぼくは高校生です。二十歳になれば選挙権がもらえます。そうしたら。比例代表では自民ではなく共産党と票をいれます。なぜか。小泉さんは改革改革とくりかえすばかりで景気が良くならず。こうした腐敗政治があるから国民も小泉さんに対する恨みがあるのもわかります。やはり自民党政治には本当にうんざりです。(日本共産党の)ホームページで「赤旗」の記事もみています。
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